マイナンバーカードで個人を管理
台東区は行政手続きのオンライン化をすすめています。利便性向上やコロナ対策のためには悪いことではありません。
しかし、並行してマイナンバーカードを普及促進しようとしているのは問題です。さきごろ策定した「台東区情報化推進計画」では、マイナンバーカード交付率を5年で現在の35%から60%に高める目標を掲げました。
国はこれ以上に急速な普及を急ぎ、健康保険証、運転免許証とマイナンバーカードの一体化、預金口座とマイナンバーの紐づけを一貫してすすめようとしています。自治体にも利活用拡大を促していますが、台東区は応じるべきではありません。
マイナンバーカード交付が広がれば、いっそう新たに大量な個人情報が区に集積されます。集積されるほど価値が高まり、さまざまな攻撃の対象になります。
区が持つ個人情報と国の機関が持つ個人情報がマイナンバーで関連付けられ、強力な権限・業務を与えられたデジタル庁が設置されれば、私たちの所得や資産、健康、教育・学習データ、資格などの個人データを丸ごと国が管理できます。
日本では警察が本人の同意や令状なしに個人情報を入手できますから、これが結び付けば国民監視社会がつくられる危険があります。
官民の利活用が活発になればなるほど、個人情報は漏えいの危機にさらされ、保護から遠のきます。日本では、自己情報をコントロールする権利が弱く、逆に企業が情報を漏えいした時の補償は法的に規定されていません。菅政権のデジタル化は、周回遅れの日本の個人情報保護や企業責任を置き去りにしています。
LINE社の事件は記憶に新しいですが、日本企業の個人情報漏えい・紛失は12~19年の累計で372社・685件、個人情報数は8889万人分(東京商工リサーチ調べ)。人口の7割が被害にあった計算です。
台東区は国のデジタル化に無批判に従うのではなく、区の個人情報保護条例の精神に基づき、区民の人権を守り抜く立場に立つべきです。