隅田川両岸で野宿する人たちへの暴力事件が、7月末から9月中旬にかけて毎日のように続きました。石や空き瓶、爆竹のテントへの投げ込み、小屋へのエアガン打ち込みなどエスカレートし、9月11日、爆竹を投げ込んだ男が現行犯逮捕されました。墨田区と台東区はこれらを「人道上、許されない行為」と声明を発表しました。
事件が集中したのは厩橋近くの隅田区側です。7月28日、テントに液体がかけられ、酒瓶、酒樽が堤防の上から投げ込まれました。29日には同じ地点で卵がかけられました。30日は人の頭より大きな石がテントに投げ込まれ、屋根を突き抜け落下。路上生活者は被害届を本所警察署に提出しました。
8月に入ると、路上生活者が共同で使用していた衣装ケースが川に投げ込まれる、自転車にワイヤーロックをかける、鍵穴にボンドが流し込まれるなど、お盆の期間を除き嫌がらせが続きました。
9月はエアガンや爆竹が使われるなどエスカレート。ついに11日、爆竹を投げ込んだ男が現行犯逮捕となります。
台東区側でも言問橋トンネルで7月30日、エアガンが、9月2日には打ち上げ花火が撃ち込まれる事件が起きました。
襲われた野宿者当事者と支援団体は13日、日本共産党・あきま洋区議に事件の事実関係を報告。墨田区に続き台東区としても声明を発表してほしい、と求めました。また、複数の加害者を目撃しており組織的な犯行である可能性が高いとして今後の対応についても要望しました。
あきま区議は、被害届を台東区側の浅草警察署に出すことをアドバイス。区には人権に係る問題として、事件の発生と許せない行為であるとの見解を明らかにするよう申し入れました。
台東区は14日、声明(囲み)を発表しました。
台東区の声明
「路上生活者(ホームレス)に対する投石等のいやがらせについて」
前略)路上生活者の所有物に対し石や空きビンが投げ込まれ、器物等が破損される事案が発生しています。このような行為は、人権侵害であると同時に犯罪行為でもあり、決して許されることではありません。
このような行為をなくすためには、路上生活者が置かれている状況や自立支援の必要性について理解し、路上生活者に対する偏見や差別をなくすことが大切です。区民の皆様のご理解と、このような行為の防止に向けたご協力をお願い申し上げます。