東京の教育「荒野の30年」
教科書ネット 児美川氏講演

学校減らし管理強化で教員疲弊

 子どもと教科書ネット21は4月26日、児美川孝一郎法政大学教授による「東京の教育の今、これからの希望は?」とのテーマの講演会を開きました。

 児美川氏は、80年代の臨教審など新自由主義的な角度での日本の教育改変は従来の制度や慣習などで順調にすすまなかったが、東京はこれらの「阻害要因」を打ち破る条件を備えていたため、石原知事・横山教育長のもと急先鋒の役割を果たした、と解説しました。
 それは4期にわたる手法で進められました。
 ①学校のかたちを変える…都立高校の統廃合と再編。石原知事14年の在任期間で34の全日制・18の定時制高校を統廃合。その大半を前半で急速に断行。同時に、多様化・特色化、階層化~進学重点校、普通科単位制、中高一貫校、エンカレッジスクール、産業高校など。
 ②学校の管理運営「改革」…校長の権限強化と職員会議の「補助機関」化でトップダウン型に。民間企業の経営手法の導入。
 ③教員人事「改革」…人事考課、民間人校長、公募制人事、主幹教諭制度、人事異動要綱の改定、主任教諭制度。業績主義の導入による競争創出と教員組織の垂直的階層化。
 ④新保守主義「改革」…「心の東京改革」、養護学校の性教育への介入、「奉仕」必修化などによる大国主義化をめざす新保守主義で①~③が生み出した矛盾を抑え込み。
 これらは、教職課程履修者や教員採用試験受験者の激減をもたらし、深刻な教員不足を生み出しました。児美川氏は東京の「教育改革」は「荒れ野の30年」をつくり出した、と結論付けました。
 児美川氏は、同時に「教師と言う仕事には魅力を感じている学生は多い、教職志望者が一定のところで歩留まりしている。そこに希望がある」と、強調しました。

カクサン