台東区の「(仮称)まちづくりに係る総合的な条例」の素案の概要が、18日に開かれた意見交換会で明らかになりました。この会には区民はじめ区内で活動する50人が参加。関心の高さを示しました。それだけに区民等の声が活きる条例に磨き上げていく丁寧なプロセスが必要です。
条例の素案は、①総則 ②まちづくりプラットフォーム ③多様な主体によるまちづくり ④まちづくり審議会 ⑤まちづくり活動の促進 ⑥適切な土地利用の形成…の6つで構成されています。
「総則」では、台東区基本構想に即した都市計画マスタープランに掲げる将来像の実現に寄与するという目的と、多様な主体が相互理解・信頼・協力のもと地域コミュニティの形成、魅力向上、土地利用の誘導・市街地環境の向上を推進する、との基本理念をうたい、そのための区、区民等、事業者の責務を明らかにしています。
「まちづくりプラットフォーム」は、まちづくり活動の促進や団体支援のために相談・情報提供・情報発信・交流の機会創出を行います。
「多様な主体によるまちづくり」は、これまで制度上の明確な位置付けがなかった任意のまちづくり団体に対し、区がその活動目的を受け止め登録・認定を行うことによって活動への支援を行えるようにする制度です。「登録まちづくり活動グループ」と「認定まちづくり協議会」を想定しています。
なかでも一定の要件を満たすとして区が認定した「認定まちづくり協議会」は「まちづくり計画」を区に提案するとともに、「地域ルール」を作成し区の認定を求めることができます。
「まちづくり協議会」の認定は「まちづくり審議会(仮称)」が行います。審議会は主にまちづくりの専門家、区内在住者等が構成し、区長の付属機関として条例に定める地域まちづくりに関する審査機関になります。
「まちづくり活動の促進」では、「認定まちづくり協議会」の運営に必要な事業費、専門家の助言を得るために利用可能な補助制度を規定するとともに、「登録まちづくりグループ」や「認定まちづくり協議会」がまちの魅力を向上させる活動を促進するため公開空地等の活用を含めた方策を実施します。
「適切な土地利用の形成」では、土地利用に影響する大きな開発について、建築計画についての区との事前協議や「認定まちづくり協議会」への情報提供を義務付けることを検討しています。
台東区内は、不動産デベロッパーの再開発につながる底地買いが横行し、地価が高騰しています。区民参加のまちづくりが困難な要因が増大しています。都市計画マスタープランは、台東区の都市形成に影響を与えてきた歴史や文化、産業や災害などを踏まえ、多様な主体が参画し活動の舞台となる魅力あるまちを将来像に掲げています。まちづくりを担う主体を区民等の中に育て、現在の投機的な土地利用を持続可能なものに切り替えていけるか、分かれ道にあるといっていいのではないでしょうか。