健康・衛生と交流の場として 公衆浴場への支援を

 台東区には、現在21軒(1軒休業中)の公衆浴場(銭湯)があります。人口及び面積に対する軒数の割合は、東京都の自治体のなかで最も多くなっています。しかし、燃料費の高騰・利用者の減少・後継者問題等、営業継続のための課題が山積しています。

 区内の各銭湯には、昔の趣が残っていたり、サウナや露天風呂などの設備があったりするなど、浴場ごとに違った趣があります。近年では、シャンプーやボディーソープなどが常備してあったり、貸タオルがあったりするなど経営も工夫され、とても利用しやすくなっています。

厳しい燃料費高騰

 その銭湯ですが、経営者にお話を伺うと燃料高騰による負担が大きく、経営を圧迫している実態が浮かび上がってきます。
 区は昨年度まで、新型コロナでの客数の激減や燃料費高騰などもあり公衆浴場支援を実施してきました。しかし、今年度に入り客足の戻りなどを理由に支援を打ち切りました。
 経営者は、光熱費は引き続き高値で経営改善にはなっていないと怒っています。共産党区議団は、予算審議の場などを通じて、銭湯への光熱費支援の継続と子ども入浴補助を新たに実施することを求めてきましたが、区はこれを拒否しました。
 浴室などの改修費に関しては区の補助もありますが、その補助金の使い勝手が悪いと鈴木のぼる区議は指摘します。例えば、銭湯の湯沸かしボイラーは特注で店の形に合わせて作らざるを得ない為、壊れる前に注文をして交換するという非効率な方法をとらざるを得ません。使いやすい支援の在り方の検討が必要です。

ふれあい入浴券 より一層の充実を

 高齢者のふれあい入浴券は、区民の強い要望もあり、年間の枚数が20枚から36枚に増えましたが、自己負担も50円から100円と倍になりました。使用範囲は区内に限定されており、区境の他区の銭湯では使えません。千代田・中央・豊島・足立等では近隣区でも使用可能です。
 公衆浴場は、東京都共通での利用料金となっており入浴料は大人550円と値上がりしました。
 自宅アパートに風呂がなく、デイホームに通う事の出来ない自立の高齢者からは「特養に入れば週2回の入浴があるのに、元気だから施設利用もできない。入浴は週1回。夏はタオルで汗をぬぐうだけ、なんかおかしくないか」「生活もカツカツなので銭湯に行きたくても風呂券がなければいけないよ」との声も寄せられています。

銭湯文化を守るには

 昨年3月、松が谷の銭湯・大久保湯が廃業しました。最近、荒川区の町屋や中央区入船でも銭湯の後継者不足や建物の建て替えなどを理由に廃業の動きが表面化、これに対し、地域の方々が存続署名に取り組んでいるとも聞いています。
 4月に東京経済同友会台東支部が主催した銭湯経営者のシンポジウムでも、銭湯に通う人の多くは店から半径300メートルぐらいの方が多く、やはり地元の浴場という意識が高い。昨今は銭湯巡りなどで遠距離の方もいるが、定着しないと経営には厳しい、とのことです。
 鈴木区議は、「災害時にも衛生管理ができる銭湯は大切です。銭湯文化を守るため、区民福祉向上や営業を守るという視点から区の支援のあり方をしっかり議論する必要があります」とします。 

根岸の銭湯・宝泉湯(記事とは直接関係ありません)
カクサン