防災意識向上に更なる努力を

 地震・豪雨等、災害がいつ起きてもおかしくない状況に心が休まりません。改めて災害に備える必要性を痛感します。区が23年5月に区民2000人(有効回答1048人)に実施した意識調査の結果は、区民の防災意識の向上に向け更に努力しなければならない状況であることを示しています。調査項目は4つ、その内容を見てみましょう。

避難の方法の認知度

 「一時集合場所」が51.4%、「避難所」44.1%、「広域避難場所」43.2%、そして「避難方法(順序)」が40.6%となっており、おおよそ半数の方に避難に関する情報は理解されているようです。
 しかし、前回の調査(21年5月)と比較すると全ての項目で認知度が低下しています。いざという時には心配です。

参加したことがある防災訓練

 これについては下表のとおり「参加したことがない」が61.2%と大変厳しい実態が見てとれます。コロナ禍の影響もあると思われますが、コロナ禍真っ只中での前回の調査と比較しても17ポイントも増えています。
 実際に参加した訓練をみると「学校・勤務先の訓練」が16.1%。次いで「町会の訓練」5.8%、「台東区主催の訓練」は1.0%です。そして、この設問でも全項目で前回より“参加”が減っています。
 とりわけ最も身近な「学校・勤務先」や「町会」の訓練の参加が大幅に減少しているのは、コロナ禍により地域のつながりが少し希薄になっていることを伺わせるものです。訓練への参加者をどう増やすのかは、訓練自体のマンネリ化もあり、なかなか難しい課題ですが地道に努力を続けることが大切です。

<参加したことがある防災訓練>

学校・勤務先町会避難所単位区主催参加したことがない
21年5月41.7%13.2%3.6%3.5%44.2%
23年5月16.1%5.8%0.8%1.0%61.2%

知りたい情報

 この問いでは、「被害想定」51.1%、「避難所などの場所」47.6%、「避難所の開設・運営方法や備蓄品の種類など」46.5%、「お住いの地域の防災の取り組み」34.3%と続きます。前回比では、「コロナ禍における避難の仕方」が大幅に下がった以外はほぼ横這いです。

災害等に対する備え

 ここでは、「食料や飲料水、日用品の備蓄」が68.6%となっています。この数字を高いとみるかどうかは分かりませんが、続く「家具の転倒防止・落下防止対策」42.7%、「住宅用火災警報器の設備」34.4%、「家族での話し合い」22.5%と比べると頭一つ上を行っています。しかし、この項目でも「新型コロナウイルス感染症対策」が大幅に下がった以外はほぼ横這いになっています。備えが高まっているとは云い難い状況です。

今年の調査に注目

 この調査結果から見てとれることは、残念ながら区民の防災対策への意識が高まっていると云える状況ではないということです。
 能登半島地震の経験や東南海地震への備えを考えると、今年の5月に実施予定の意識調査でどのような結果が見られるのか注目したいと思います。

カクサン