公契約審議会、初の答申
委託労働報酬 下限1323円

 今年度からスタートした台東区公契約条例。区公契約審議会はこのほど条例施行後初めて労働報酬下限額(2025年度)を区長に答申しました。「公契約の最賃」として注目された「業務委託契約及び指定管理協定に係る労働報酬下限額」は1時間当たり1323円。同じく初答申の文京区の1295円を上回りましたが、13区中11位でした。
 答申では、「工事又は製造の請負契約に係る労働報酬下限額」は東京都公共工事設計労務単価を基準に熟練工90%、未熟練工が軽作業員の70%。これは条例施行の他区とほぼ同じです。
 「業務委託」「指定管理協定」の労働報酬下限は、台東区の会計年度任用職員(事務補助)の報酬、1292円を勘案しての答申となりました。現在、14区が公契約条例を施行していますが、下限額を答申した13区では11番目の低さです。初めての答申という事情があったと考えられますが、今後さらに高い水準になることを期待します。
 答申に各委員からの意見が記述されたことも重要です。
 ◎下限額や制度の適切な周知 ◎未熟練工の70%適宜見直し ◎最低制限価格制度の見直し ◎前払い金制度の拡充…など。実効あるものになるよう期待します。
 審議会の労働者代表委員である東京土建台東支部書記長の小久保篤さんのコメント(別掲)を紹介します。

前向きな動きを評価

労働者代表委員 小久保 篤

 台東区の公契約審議会は他区と比べても非常に前向きであると感じています。前向きというのは、事業者も含めて労働者側を向いている雰囲気があります。
 初年度ということもあり、区役所側は「他区の動向を見ながら」という雰囲気で、あまり突っ込んだ提案は在りませんが、実効性を持たせるための工夫を積極的に検討している姿勢が見られました。
 委託契約の報酬下限額はどうしても、“後出しじゃんけん”で、決定が遅いほど高額になる傾向はありますが、12月25日の審議時点では、連合を含め、私たちの意見を若干上回る算出も区側の熱意を感じました。
 また今年度、決めきれなかった課題を、しっかり次年度に継続させることが出来たのも良かったと思います。
 個人的な見方としては他自治体と比較して、会長の熱意が高い(他が低い訳ではありません)ことが大きく影響していると思っています。事業者側に委託に関わる審議委員が居ないことも、報酬下限額の決定がスムーズに進んだ要因かもしれません。

カクサン