就学前人口減少の影響は深刻
台桜幼稚園で3歳児クラス編成できず

 厚労省が4日に公表した人口動態統計で、統計開始以来初めて出生数が70万人を割り込んだことが大きな話題になりました。本紙では昨年4月、区内の人口は増えているのに、就学前の子どもの人口の減少が急速に進んでいる、と問題提起をしました。本号では、そのことが区の就学前の施設(幼稚園等)にどのような影響を及ぼしているかについて考えます。

 就学前の子どもの人口流出が止まりません。2020年の0歳児は1537人でしたが、25年の5歳児は1164人となり24.3%の減少となっています。
 この影響を最も受けていると思われるのは区立幼稚園です。
 16年度に713人だった園児数は、別表のように推移し、昨年度は354人と大きく減少しました。就学前人口の減少と長時間保育のニーズの高まりが要因と思われます。
 そのような状況を受け、区教育委員会は昨年「区立幼稚園の今後の対応」を策定しました。その方針では、給食の提供・預かり延長保育を実施したうえで3歳児が「募集時点で9名以下」の時は学級編成を行わないとしました。そして、2年連続して学級編成ができない場合は閉園を検討する、としました。
 今年度園児数は365人と少し増えましたが、台桜幼稚園では今年度の3歳児の入園がゼロになり、学級編成が出来ませんでした。
 認定こども園(短時間)をみると、19年度(令和元年度)221人から今年度149人と大きく減少しました。長時間保育が同時期279人から275人とほとんど変化がないのと比べると対照的です。
 6月10日の区議会子育て・若者支援特別委員会において、石浜橋場認定こども園(短時間)での長期休業中の預かり保育が提案されました。あきま区議の質問で、短時間児童在籍25人中、保護者が働いていない児童が24人であることが分かりました。「幼稚園の保育園化」についての議論も必要になってきました。
 一方、長時間保育を行っている区立保育園でも19年度(令和元年度)の1017人から今年度872人と園児数が減少しているのは就学前の児童数の減少が大きな要因と思われます。
 就学人口が減ることを前提に、保育や学童クラブ、教育環境や就学援助、奨学金、配慮の必要な子どもなどの施策を後退させるのか、逆に減少することを逆手にとって教育・保育の質を向上させ出生率の低下や就学前の子どもの人口流出を防ぐのか…区は大きな岐路に立っています。

就学前施設の園児数

年度(令和)区立幼稚園(人)認定こども園短時間(人)区立保育園(人)
2019(元)5642211,017
2020(2)4922061,026
2021(3)403194998
2022(4)350174967
2023(5)344158924
2024(6)354151890
2025(7)365149872
*4月1日現在。但し、幼:元~4,認定:5~6は5月1日
カクサン