台東区立幼稚園、小・中学校の教員が学校園にいる時間が減少傾向…区教委は19日、区議会区民文教委員会に報告しました。超過勤務、多忙は教員のなり手がいない最大の要因ですが、今回の報告はそれが解決に向かっているとは到底いえるものではありません。教員不足を打開するには、区独自の正規教員採用など、抜本的な対策を講じるべきです。
報告は「台東区立学校園における働き方改革に関する現状について」。2021~2022年度に導入した「出退勤管理システム」により記録された教員の21~24年度4年間の時間外平均在園・在校時間のデータを公開しました。
それによると、月45時間を上限とする国のガイドライン以内の教員は、幼稚園で72.6%から87.9%に、小学校で65.2%から74.5%に、中学校で59.7%から64.2%に上昇しています。幼稚園、小学校での在園・在校時間の減少は見て取れますが、中学校での改善は遅れています。
とくに「過労死ライン」といわれる月80時間以上の教員が、中学校で21年度の9.8%以降、9.2%。7.5%、5.5%と減ってはいるものの相当数残っています。命にかかわる問題です。
また、「出退勤管理システム」は学校園に教員が実際にいる時間に限られており「持ち帰り残業」が含まれません。「持ち帰り残業」を含む文科省の教員勤務実態調査では、平日中の1日当たり勤務時間は22年度で、小学校教諭11時間23分、中学校教諭11時間33分となっています。月の残業に引き直すと60~90時間となります。
「精神疾患による病休者」は増加の一途をたどり年間7000人を超え、痛ましい過労死もおきています。「出退勤管理システム」だけでは「働き方改革」の実態を正しくとらえられないのではないでしょうか。
この問題の大本には、教員の基礎定数を増やさず、「学校の業務見直し」「加配定数」で対応してきた国の責任があります。また、先の国会で温存された「教員残業代ゼロ制度」も重大です。
日本共産党は、①義務教育標準法を改正し、基礎定数を段階的に引上げ30年度までに1.2倍にする、②給特法が定める「定額働かせ放題」の残業代ゼロ制度を改め労働基準法を適用する、などの政策を目前の参院選政策で掲げています。
台東区は教員の多忙を改善するため、様々な対策を講じてきました。19日に報告されたこれまでの事業は17事業にものぼります。しかし、抜本的な改善には結びついていません。日本共産党台東区議団は、区独自の正規教員の採用を、と議会で再三求めるとともに、毎年予算修正案で要求してきました。これからも教職員と学校、子どもたちを守るためがんばっていきます。
