台東区議会にも(下) 外国人を排除する潮流
低い生活保護率、教育補助で格差も

 外国人の生活保護についても、自民党の松村智成区議は否定的見解を繰り返しています。昨年の決算特別委員会では、生活保護法が永住外国人に適用されるものではないとの最高裁判決を理事者に答弁させ、「法律ではなく人道的な立場から支給されており、外国人の生活保護の扱いには大変強い意見が私のところに多く届いている」と主張しています。
 松村区議は同じ委員会で、外国人と日本人の保護率について質問。理事者は「日本人保護率は令和3年度末3.84%、4年度末3.60%、5年度末3.33%、外国籍の保護率はそれぞれ1.46%、1.21%、1.06%」と答弁しました。「外国人の方が生活保護を受けやすい」というような言説に根拠がないことが逆にはっきりしました。
 松村区議は、東京韓国学校、東京中華学校等の外国人学校に通う子どもの学用品購入費負担を支援する制度を指し「日本の公立の教育機関が門戸を開いているのに、それを拒否する方たちに対し税金を支出するのはどうか」(本年3月、予算特別委)と主張しています。しかし、国は幼保無償化や高校学費無償化で、外国にルーツのある子どもの教育施設の一部を対象とせず、台東区も奨学給付金支給の対象にしていません。
 日本も批准している「国連人権規約」は「締約国はその領域内にあり、かつその管轄下にあるすべての個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見…等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する」としています。
 そして条約第6条は生存権、第24条は児童の保護、第26条は法律による平等の保護を規定しています。困窮した外国人の生存権や、子どもたちの教育を受ける権利を保障するのは国家として当然の責務です。
 現行法が、外国人や外国にルーツのある子どもに生命や教育を保障する法的根拠を十分備えていないことの方が問題ではないでしょうか。

侵略戦争の事実を認めない

 外国人への差別は歴史修正主義につながっています。
 「日本人ファースト」を掲げる参政党の吉岡誠司区議は2023年6月の文化・観光特別委員会で、下町風俗資料館のリニューアルに当たり「大東亜共栄圏、大東亜戦争についてなど、大義名分がアジア解放戦争だったことを知らせ、若者が日本に誇りを持つことが重要。小さくてもいいので展示いただきたい」と発言しました。
 松村区議は「次世代を担う子どもたちが自国に誇りを持たなければ我が国の将来は閉ざされる」として、「我が国と郷土を愛する、親孝行、兄弟仲良く、夫婦はなかむつまじく、友人とは信頼しあう…など、国と郷土を愛する態度を育む教科書の採択を」(2024年6月、二定一般質問)と主張しました。
 先の戦争が日本の侵略戦争であり、アジア諸国民に多大な犠牲を負わせた事実を見ず、正しい戦争だったと子どもたちに教えることは、世界の子どもたちと連帯して戦争のない世界をめざす国際的な動きに逆流を与えることになります。(終)

荒川区にある東京朝鮮第一初中級学校。朝鮮中高級学校に進学する子どもは区の奨学給付金支給の対象になっていません。
カクサン