ネットリスク 子どもが危ない(下) 一人1台端末でも課題 学校・家庭でリテラシー向上へ

 SNSが子どもの心身に与える負の影響は国際的な問題になっています。
 最も深刻と言われる米国では、SNSビッグテックに対し、子どもの依存による心身の被害、自殺、言語・思考能力の低下などでの訴訟が増え「2千件を突破」したとの報道もあります(3日付「読売」)。

 一昨年、米国のマーシー医務総監が「1日3時間以上費やす青少年は不安や抑うつ症状のリスクが3倍になる」「青少年の約半数がソーシャルメディアにより、自分の体について気分が悪くなる」と勧告しています。
 児童の性的搾取という点でも、米国最大の児童保護組織「全米行方不明・被搾取児童センター」は23年、児童の性的搾取が疑われる通報が3620万件、オンラインで児童を性行為に誘う通報が8万件、児童ポルノ画像・動画の通報は1億件を超えた、と警鐘を乱打しました。日本でも児童の画像をSNS等で広げる事件が問題になっています。
 ギガスクール構想のもと一人1台端末(タブレット)が区立小中学校で実施されています。病児や障害児のコミュニケーション支援や学力向上のためのツールとして活用することは極めて重要です。しかし一方で、SNSや動画に触れ、依存してしまうような危険もあります。
 学力との関係ではどうでしょう。今回の「台東区総合学力調査」は、学校の授業以外にタブレットやICT機器での勉強のための使用時間を調査。「1日3時間以上」という正答率が最も低く、正答率の高いのは小学生で「30分より少ない」、中学生で「30分~1時間」となっています。(グラフ)
 「個別最適化」した学習指導をすすめる、との目的で導入された一人1台タブレットですが、学校や家庭でのルールづくり、リテラシー向上は喫緊の課題です。

カクサン