物価高騰と酷暑で苦しむ区民に
実効あるエアコン、住宅支援を

伊藤のぶ子区議が決算総括質問

 台東区議会第3回定例会は21日、決算特別委員会総括質問を行いました。日本共産党からは、あきま洋・伊藤のぶ子区議が質問に立ちました。今回は伊藤区議の質疑を報告します。

 伊藤区議(写真)は、物価高騰が区民のくらしに与えている影響について、食費にまで事欠く年金暮らし・生活保護受給者の区民の過酷な実態を示し、区長の認識を質しました。また、低所得者、高齢者へのエアコン設置・修繕、電気代の補助を求めました。
 これに対し理事者は、物価高騰が区民の生活に影響していることは認識している。出産費用助成の新設、学校給食費支援などの施策を講じてきた。国は低所得者向けの給付金を検討している、などと答弁。エアコン助成については「家電製品は各家庭でそれぞれの事情で購入の有無を判断している」と退けました。
 今夏、熱中症による室内での死亡者は、その8割が、エアコンがないか電気代を気にして使わなかった、という東京都監察医務院の報告をみれば、購入の有無を判断できる経済状態ではないことは明白です。
 台東区は、経済弱者にもっとも寄り添わなければならない自治体の使命をどう考えているのでしょうか。
 伊藤区議は重ねて、住宅弱者への支援についても取り上げました。
 区は、高齢者や障害者、ひとり親家庭など、年齢や身体状況、経済状態により住まい探しが困難な住宅弱者に対し、民間住宅への入居相談窓口を開設しています。ところがこの相談窓口への相談は決算年度で123件・入居決定79件ですが、区からの直接の情報提供での入居はわずか5件、35件は決まりませんでした。
 「住まいが決まる最後まで見届ける伴走型の支援を行うべきだ」と伊藤区議。
 しかし理事者は、現在の相談体制は丁寧であるとし、再度の相談にも対応する、と言うだけで、決まるまで支援する、と約束しませんでした。
 日本共産党への生活相談で、最も多いのが住宅相談です。この区の姿勢では、住宅弱者は救えません。

木陰を増やす

 最後に伊藤区議は「木陰を増やすこと」について質問。ヒートアイランドなど夏の暑さを和らげ、温室効果ガス吸収にも効果のある木陰。ある地域の面積のうち樹木の枝や葉で形成される部分により覆われる部分の面積を「樹冠被覆率」と呼び、世界の主要都市では目標を設定して高める取り組みが始まっています。
 伊藤区議は、区の環境方針において「樹冠被覆率」を指標の一つとして位置付け、目標を決めて進めるべきではないか、と提案しました。
 理事者は「樹冠の被覆だけでなく、草地や屋上緑化も含む緑被率などの現在の指標により緑の保全、創出に取り組む」と答弁。ヒートアイランド、夏の暑さを和らげる樹冠被覆の役割について、決算審議の時のような正当な評価を示しませんでした。認識が後退したのでしょうか。

区長本人の答弁わずか
議会軽視、決定経過を明らかにせよ

 服部征夫区長は、決算特別委員会総括質問における区長部局関係での48の質問に対しわずか4回、しかも交渉会派の質問にしか答弁に立ちませんでした。議会軽視の姿勢です。
 区議会は前19期まで、代表質問、一般質問、決算・予算特別委員会の総括質問について、原則として区長が答弁してきました。
 しかし、今20期から代表質問以外は区長以外の理事者による答弁を認めるようになりました。
 それでもこれまでは、服部区長がほとんどの会派に対し、満遍なく答弁に立ってきました。今回の答弁姿勢の変化はどこでどう決まったのか。区民と区議会に明らかにすべきです。

カクサン