令和2年第3回定例会 一般質問

〇発言者
山口銀次郎

〇日付
2021年3月12日

Ⅰ.新自由主義に追従する区政運営を見直すことについて

医療崩壊の危機、経済の急速な縮小など、新型コロナウイルスは、新自由主義がもたらした日本社会の脆弱さをあらわにしました。とりわけ安倍首相の7年8か月の政治は、日本社会を大変もろいものにしてしまいました。
安倍政権が押し進めた新自由主義は、台東区政にも大変な負の影響を与えてきました。医療費削減は地域医療構想として押し付けられ、国は公的病院再編統合計画に区立台東病院を指名しました。死者43人コロナで最大の院内感染となった永寿病院ですが、入院患者のPCR検査結果が9日間もかかったことが病棟を分けて隔離することを遅らせました。国の検査体制の弱体化が原因になりました。
消費税の相次ぐ増税は、中小零細業者のまち・台東区の地域経済を痛めつけました。EUとのEPAは皮革履物産業に打撃を与えました。インバウンドを呼びこむことを経済振興の中心に据えてきたやり方は、いま浅草や上野で大変な矛盾となって噴出しています。これに対し、台東区政はどうだったでしょうか。
服部区長は2期目、基本構想の基本目標で区政を運営しています。
「あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまち」
「いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまち」
「活力にあふれ多彩な魅力が輝くまち」
「誰もが誇りやあこがれを抱く安心安全で快適なまち」、の以上4点です。
日本共産党区議団は、これらの方針を貫こうとすれば、区長は国のすすめる新自由主義的な方針に立ち向かわざるを得ないことを繰り返し指摘してきました。
ところが区長は、新自由主義的な経済政策であるアベノミクスを高く評価し、消費税増税に反対の進言をという日本共産党台東区議団の提案を退けてきました。負担増と医療費削減を狙った国民健康保険の都道府県化や介護保険の改悪に賛同してきました。勉強がよくわかり学校が楽しくなり、教員と子どもの距離が縮まる少人数学級に背を向けてきました。
区長。コロナを収束させ、コロナ後の社会を区民にとって希望あるものにするには、安倍政権の新自由主義に追従してきたこれまでの区政運営をおおもとから見直す必要があるのではないでしょうか。基本的な見解を求めます。お答えください。

区長答弁
本区においては、区政運営の最高指針である基本構想の下、「長期総合計画」や「行政計画」などに基づき、区政を推進しています。また、コロナ過において、区民生活と区内経済が深刻な影響を受ける中、区政運営における3つの柱に基づき、重点的に取り組むべき業務を進めています。引き続き、こうした方針の下、本区の明るい未来を築き上げるために、全力で区政に取り組んで参ります。

Ⅱ.未曽有の景気悪化から地域経済をまもることについて

1.消費税減税を国に進言することについて
はじめに経済支援についてです。昨年10月の消費税増税によって、個人消費は落ち込み景気は低迷し、区内中小事業者はその打撃を受けていました。そこに新型コロナウイルスが追い打ちをかけています。私は商店街を回って、その苦境をあらためて肌で感じています。新型コロナウイルスによって経営が苦しい事業者のために国や自治体が様々な施策を打ち出しています。これらの策は充分とはいかないまでも、一定の効果は出ていると感じていますが、長期の低迷ですぐに行き詰まってしまいます。やはり、根本的な対策が講じられなければ、この危機は打開できません。
区長。最も効果的なのは消費税の減税ではないでしょうか。そもそも消費税増税によって景気が後退した局面に追い打ちをかけたのがコロナです。コロナによって悪化した経営を支援するとともに、個人消費を拡大する策として消費税減税が必要不可欠です。
すでにコロナによる景気対策として消費税の減税に踏み切った国がいくつもあります。消費税減税を求める声は野党だけでなく日本の政権与党の一部からもあります。
区長、国に対して今こそ消費税を減税するべきだと進言する必要があるのではないでしょうか。見解を求めます。

2.持続可能な観光振興について
次に持続可能な観光振興について2点伺います。
まず、インバウンドからマイクロツーリズムへの転換についてです。
新型コロナウイルスは、インバウンドに比重が高まっていた台東区の誇る観光地上野浅草に、大きな打撃を与えています。
コロナ以前は、平日でも多くの外国人観光客が訪れていました。また2020オリンピックを見込んで民泊やホテルが多数建設されてきました。区内の観光スポットは、ゴミや騒音、マナーの問題など生活環境悪化などを引き起こし、オーバーツーリズムの弊害が指摘されるほどになっていました。
しかし、今回の新型コロナウイルスによりそれらは一変しました。街からは外国人観光客の姿は殆ど皆無となりました。
外国人観光客に頼ったインバウンドは、感染症パンデミック、政治的情勢や天災など非常に影響を受けやすく脆いものです。
今回の新型コロナウイルスで旅行などが自粛されるなか、マイクロツーリズムという考えが注目を浴びています。マイクロツーリズムとは、30分から2時間くらいの、比較的近距離の場所に行くことで、長距離移動が控えられている状況下において、近場の魅力を再発見しようという動きです。首都圏の人口は3000万人以上居り、ここ台東区は交通アクセスも非常に良い場所となっています。
首都圏の方達に「本物にあえるまち」台東区を積極的にアピールしてはどうでしょうか。台東区には歴史的文化的にPRするものが多々あり様々な魅力があります。外国人観光客の激増で引いてしまっていた、浅草や上野の古くからの近県の観光客にもどってきてもらうチャンスにしようではありませんか。また、台東区のことをあまり知らない方達にも新たに台東区を知ってもらうようにしましょう。
区長。マイクロツーリズムの観点での施策を積極的に打ち出すべきではないでしょうか。見解を求めます。

3.区民が区の良さを再確認することについて
次に区民が区の良さを再確認することについてです。
台東区には、史跡戦跡が街の中にたくさんあります。歴史あるこの地域には、旧石器時代の、上野桜木町の石器出土から始まり、上野の寛永寺や東照宮の創建、江戸時代の猿若三座のように、文化芸能の造詣(ぞうけい)にも深いのが台東区でもあります。また、アジア太平洋戦争の東京大空襲で焼け残った浅草寺の大イチョウ、三筋の電柱、言問橋の欄干では多数の人が重なり合い死を迎えた場所には慰霊碑があります。台東区には様々な年代の本物に会えるものがあります。
その中にある一つ一つの歴史を見つめることによって台東区の良さを区民が再確認出来るような区内観光振興が必要だと思います。それについて区長は手立てを講じるべきだと思いますがどうでしょうか。

区長答弁
まず、消費税についてです。消費税について様々な議論があることは認識していますが、国において適切に判断するものであり、申し入れについては考えていません。
次に、マイクロツーリズムの推進についてです。インバウンドが大きく減少する中、身近な場所の魅力を深く知るきっかけとなるマイクロツーリズムの考え方は、今後の観光施策を進める上で、大変重要な視点であると考えます。区では、「新しい日常」取組店舗応援事業により、地域全体で感染予防対策に取り組む、安全安心な観光地であることをSNSなどで日々発信しています。また、10月から東京都も対象となるGOTOトラベル事業の情報収集に努め、ホームページなどで情報提供するとともに、区内事業者に対して、取扱店となるための登録申請の勧奨を行っています。今後は、区内観光団体などと協議し、マイクロツーリズムの視点を取り入れた事業実施や情報発信に努めるとともに、区内外の旅行動向を見極め、的確なPRを実施して参ります。
次に、区民が区の良さを再確認することについてです。区内には数多くの名所や
旧跡、神社仏閣などがあり、その歴史や文化性について区民が理解を深めることは、地域に対する愛着や誇りといった意識を醸成する上で重要なことです。そのため、「江戸ルネサンス事業」として、講演会シリーズや文化財講座の開催、観光マップなどにおける史跡・名所の情報発信、街歩き等のイベントを実施しているところです。
また、台東区観光ボランティアガイドでは、これまでも区内小中学校の児童・生徒へのガイドを実施してきましたが、11月には、一般区民を対象とした「歴史・史跡再発見の散策コース」ツアーを実施します。今後も、区民が心の豊かさを感じられるよう、区内の歴史的・文化的な史跡などに触れる機会の拡充に努め、区の魅力の再認識に繋げて参ります。

Ⅲ 低所得者へのエアコン助成について

次は、低所得世帯へのエアコンの購入や修理、電気代の助成についてです。
この夏、熱中症で搬送される方が相次ぎました。環境省が熱中症アラートを連日発令し注意喚起をおこなっていました。台東区も区のホームページで熱中症への注意を呼び掛けてきました。8月の熱中症死者数は東京では過去最多であり、ほとんどが室内での死亡です。しかも、そのうち8割がクーラーを使用していなかった、と報道されています。今年の夏は災害級の猛暑という言葉が使われ、もはやエアコンは夏の生活に必要不可欠です。しかしそのような状況でも、経済的な理由でエアコンを使えない人がいます。
風通しや日中の日当たりなど、様々な条件にもよりますが、夜間にも関わらず室温は35度前後あり湿度も60%前後、何もしていないのに汗が止まらず、その様な状況下で寝ていても疲れが取れません。扇風機やカーテンなど家にあるもので工夫をし多少状況が改善されても、エアコンがなくては根本的解決にはなりません。
区長。区として生活保護世帯、低所得者世帯に対してエアコンの購入や修理、電気代の助成制度を創設すべきではありませんか。
なおその際、区内の中小電気店で購入や修理した際には助成額を増やすなどし、地域経済の活性化を併せて推進してみてはどうでしょうか。

区長答弁
エアコン購入費等の助成について。生活保護受給者については、平成30年度より、保護開始時に、住居にエアコンが無い世帯に対して、国の基準に基づき、購入費及び設置費用を支給しています。電気料金の助成については、夏の期間の特別な需要に対して保護費を増額する「夏季加算制度」の創設を、他自治体とも連携しながら、国に対して引き続き要望して参ります。また、生活保護を受給していない生活困窮者の方には、その自立支援として、エアコンの設置を含め、生活に関する相談に対応し、適切な支援に繋げております。このため、生活保護受給者を含めた低所得者に対する区独自の助成制度の創設は、考えておりません。

Ⅳ 風水害対策について

1.荒川氾濫時の想定浸水深表記の設置について
次に風水害対策についてです。昨年10月の台風19号は関東を直撃し、あとわずかで荒川が氾濫するところまでいきました。今年も、7月には九州豪雨災害があり、今月には再び九州を非常に大型の台風10号が襲い、多数の被害が出ました。
台東区はこのほど、昨年の台風19号の際の対応から様々な課題を引き出し、「台東区風水害対応方針」を策定しました。
想定される風水害を、神田川氾濫、内水氾濫、土砂災害、高潮など「区内の避難で対応できる」ものと、広域避難が必要な荒川氾濫の二つに分け、前者は「在宅避難」を原則に、避難が必要な人には16か所の避難場所を設定しました。
荒川が氾濫したら台東区や自分がどうなるのかを事前によく知っておく必要があります。荒川氾濫時どういった状況が想定されるか、区民に周知することはとても重要です。しかしハザードマップを全戸配布しても、しっかり読み手元に置いておく人も居れば、軽く目を通すだけの人、読まない人などが居るでしょう。
日常生活の中で意識出来るような周知方法が必要です。そういった観点から、公共施設や電柱などにハザードマップで想定している浸水水深の表記を付けてはどうでしょうか。常日頃からこの地域は荒川氾濫時どうなるか確認出来ることで、区民の防災意識向上に繋がるのではないでしょうか。
昨年同様の質問がされ、その時の答弁では今後研究をするとのことでしたが、昨年の台風19号、今年の九州豪雨や台風10号など、昨年答弁時点より状況は深刻化しています。
そこで、区長にお伺いします。区内の公共施設や電柱などに荒川氾濫の際に想定される浸水の水深表記を設置してはどうでしょうか。お考えをお聞かせください。

2.都営住宅の空き室を活用した避難等について
次に都営住宅の空き室活用について。このほど策定した風水害対応方針は、昨年の19号で身近に避難できる場所がなかったという教訓をもとに、16か所の避難場所を設定しました。しかし、コロナの下で3密を避け、避難者の中には感染者や発熱者がいることを想定したゾーニングと動線づくり、ペット同行避難を受け入れることなどを勘案すると、それで十分と言えるでしょうか。また、16か所の避難場所を職員が3人の3交代制で当たることになっていますが、それだけでも職員百数十人が従事することになります。職員がしっかりと休息できる宿泊場所を区内に確保することが極めて重要ではないでしょうか。
そこで提案したいのが、区内にある都営住宅の活用です。
区内にある都営住宅は相当数の空き室があります。とりわけ清川第二都営住宅は建て替えにより部屋数が増えました。8月現在、146室中120室が空き室になっています。東京都は建て替えの際の一時移転先として確保していると言っていますが、非常時に空き室にさせておく必要はありません。
そこで、避難行動要支援者の避難場所と、職員の宿泊場所として、避難情報が発令されたら区内都営住宅の空き室を東京都に提供してもらうべきではないでしょうか。
区長。すでに都営住宅の共用部分についての提供は覚書ができています。避難行動要支援者と区職員のために東京都に空き室の提供を求めるべきです。区長の所見を求めます。

区長答弁
風水害対策について。まず、荒川氾濫に対する想定浸水深の表示についてです。風水害に対する区民の防災意識を高めるため、区では今年度中に、荒川氾濫及び高潮のハザードマップ、並びに安全・安心ハンドブックを作成し、全戸配布する予定です。区内では、荒川氾濫のほか、神田川、内水、高潮による浸水が想定され、避難方法も異なります。また、近くにある避難場所など、表記内容の検討も必要であることから、想定浸水深の表示については、引き続き他自治体での導入事例などを研究して参ります。
次に、風水害時の都営住宅の空き室利用についてです。はじめに、都営清川2丁目第2アパートの空き室については、当面、都営住宅を建て替えする際の代替住宅として活用される予定であると聞いています。避難場所の運営に従事する区職員の宿泊場所や、障碍者など避難行動要支援者の避難場所としての活用については、居室内の設備などに課題もあることから、今後、研究して参ります。

Ⅴ コロナ感染拡大防止

1. 体制について
最後の質問は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ対策についてです。
新型コロナウィルス感染拡大が収束していないもとで、秋から冬に向けての心配はインフルエンザの流行期と重なることです。
今定例会初日、区はインフルエンザワクチン予防接種を65歳以上は無料化しました。高く評価いたします。高齢者や基礎疾患のある区民が早めのワクチン接種を行うよう勧奨(かんしょう)することを求めます。
インフルエンザとコロナは臨床的な鑑別は困難と言われています。発熱症状のある患者が受診する場合は、医療機関としてもコロナを想定して受け入れざるを得なくなり、大変負担が多いと思われます。
厚労省はこのほど、「発熱等の症状のある方の相談・受診の流れ」という方針を示しました。
まず、発熱症状が生じた場合には、「かかりつけ医等の地域で身近な医療機関」に電話相談をすること。この医療機関は相談だけでなく診療や検査につなぐ機能を有する「(仮称)診療・検査医療機関」にすることが望ましい、とされています。
また、相談する医療機関に迷う場合には・「受診・相談センター」に相談する、としています。
日本共産党区議団は、区長に対し、発熱外来の整備を一貫して求めてきました。今回の厚労省方針は、「かかりつけ医等の地域で身近な医療機関」から「診療・検査機関」へという流れであり、発熱外来と同じ機能をもつ機関を位置付けたものです。
ようやくここまで来たか、というのがわが区議団の感想です。
国はインフルエンザが流行る前の10月までにこの体制整備をと促しています。しかし、区内医療機関の現状を見たとき、果たしてこの方針が円滑にすすめられるでしょうか。
これまで感染第一波のころは、保健所の帰国者・接触者相談センターの電話がつながらない、つながっても検査させてくれないことが問題となりました。その後、かかりつけ医が「PCR検査が必要」と認めた場合は検査ができるようになりましたが、発熱者の診療にたじろぐ医療機関が多いことを、地域ではよく聞きます。
発熱患者の受け入れを躊躇する理由は、安全に感染防止ができない、風評被害を恐れる、陽性者が出たら濃厚接触者として診療休止のリスクを負うことなど、今でも収入が減っているのに、ますます経営難に陥るからです。
そこで区長にうかがいます。「診療・検査医療機関」を増やすべきですが、どのくらいの規模と内容での整備をお考えなのでしょうか。東京都医師会は東京に1400か所の整備をするとしていますが、台東区としての考えをお聞かせください。

また、新たな位置づけとなる「受診・相談センター」についても、インフルエンザとダブルで発熱者が増大することを勘案すると、相当な体制が必要だと考えられます。これまで、保健所が電話相談窓口になってきましたが、4月、5月、7月は電話がつながらないなどの区民の声をよく聞きました。
区長。この秋から冬にかけて、発熱した区民が、相談する医療機関に迷う場合、あるいは「かかりつけ医等の地域で身近な医療機関」が発熱患者の電話相談に対応できなかった際の連絡先、「受診・相談センター」は、これまで保健所が担ってきた帰国者・接触者相談センターとどこが異なるのでしょうか。お答えください。
また、インフルエンザでの発熱者からの電話が増大することを想定し、抜本的な体制の拡充が必要ではありませんか。これまでのように電話がつながらないようなことがあってはなりません。区長の所見を求めます。
以上で私の質問を終わります。

カクサン
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