台東区は、谷中7丁目、朝倉彫塑館通り沿道にある“すぺーす小倉屋”(写真)を購入し、谷中のまち並み・景観をまもる方針をすすめています。評価できる取り組みです。
“すぺーす小倉屋”のもとは、感応寺(後の天王寺)の門前町で享保年間から代々質屋を営んだ商家で、小倉屋は屋号。店舗は間口三間の中二階建の町家であり、表通りからやや後退して建っています。大戸口の構えを良く残し、通り庭に面する八畳の帳場が谷中散策の方々にも無料公開されていた建物です。
台東区景観計画上の景観重要建物であり、国の登録有形文化財にも指定されています。
この蔵の持ち主が、次に継ぐ方がいないため、業者に土地の売却を検討していたところ台東区が情報をキャッチ、取得に至りました。地域の方も、業者に買われ建物が壊されてしまうのではないかと心配していた蔵で、谷中のシンボルの一つが残ったと一安心です。
日本共産党の鈴木のぼる区議は、「谷中には文化的価値の高い建物がたくさんあります。大正年間に建てられた建物や国登録有形文化財の築地塀など谷中の街づくりで重要な文化資源です。台東区が谷中らしさを後世に引き継ぐために“すぺーす小倉屋”を取得したことは重要です。これを活かしたまちづくりが必要です」と語っています。
谷中地区計画が弾み
台東区は、谷中地域の建替え時の基本ルールとなる「谷中地区地区計画」を策定。このほど公示されました。新しくできる建物に一定の高さ規制ができるようになりました。
この中で朝倉彫塑館通りは、「既存のまち並みの維持を図りながら、寺院・寺社地の緑地と住宅が調和した良好な市街地を育成」すると位置づけられました。
区は、さらに谷中らしいまち並みを守っていくため、建物の形態や意匠のあり方についても、まちづくり協議会と相談して、今年度中に「谷中景観形成ガイドライン」をつくっていくことにしています。