菅内閣の「デジタル化」 区民への影響は… ㊤

 自分の個人情報について、台東区や国・都がどんな内容を保有し、それがどう扱われているか…みなさんは関心がありますか。日本共産党国会議員団の追及で、個人情報保護を形骸化し、監視社会につながる菅政権のデジタル関連法案の問題点が次々浮かび上がっています。首相肝いりの「デジタル化」は、私たちや台東区政にどんな影響を与えるのでしょうか。3回にわたって連載します。

脅かされる区の個人情報保護条例

 ある台東区民が一昨年10月、自分の住民票の写しが第三者に取得されているか確認するため、区に対し情報公開(自己情報開示)請求を行いました。区は存在を認めましたが、情報提供先の官公署の事務に支障が生じるおそれがあることを理由に不開示にしました。
 この区民はこれを不服として処分取り消しの訴訟を提起。その後、情報提供先の官公署から開示して差し支えないとの判断があり、区は一転して開示しました。区民は損害賠償として裁判を続け、昨年12月区が勝訴。区民は控訴しました。
 台東区には個人情報保護条例があります。その第一条は「自己に関する個人情報の開示、訂正及び利用の停止を求める権利を保障するとともに、(中略)区民の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現を図ることを目的とする」、第三条は「個人情報を収集し、又は保有個人情報を管理し、利用し、若しくは提供するに当たっては、(中略)個人情報の保護を図るため必要な措置を講じなければならない」。
 先の事例の様自己情報の不開示、一転して開示など、個人情報の扱いが条例の目的や精神に沿って行われたかどうかは判決にかかわらず検証すべきです。
 少なくとも区条例は「収集」「管理」「利用」「提供」すべてにわたり区民の基本的人権の擁護をうたっています。これは区民が自己情報をコントロールする権利につながる大事な精神です。
 官公署間のやりとりでも慎重な扱いが求められますが、菅政権のデジタル関連法案は、民間や行政機関、地方自治体でばらばらだった個人情報のやりとりを容易にするとともに、個人情報保護制度を一元化し、民間企業に利活用の道を開くものです。
 さらに重大なのは、各自治体の個人情報保護条例を国の基準に合わせるように求めていることです。

カクサン