竜泉二丁目福祉施設で異例事態

指定管理候補者が辞退

 三ノ輪・蔵前・千束の3つの区立特別養護老人ホームを再編・統合する竜泉二丁目福祉施設。今年3月、東京援護協会が指定管理者候補となっていましたが、このほど同法人が辞退し、第2順位の台東区社会福祉事業団が新たな指定管理候補者になりました。異例の事態を区がどう振り返り、教訓にするかが問われます。

足場が組まれ解体工事が始まった旧竜泉中学校

 この竜泉二丁目福祉施設は、旧竜泉中を解体し、その跡地に6階建てを2棟建設するものです。
 東京援護協会が辞退した理由は「大規模施設における利用率の維持や新たな人材確保など様々な課題が生じ、長期的な法人経営上、受託が困難と判断した」からです。それは選定候補になった時からわかっていたことではないでしょうか。

選定審査会では

 台東区社会福祉事業団との2法人による選定審査では、特養の評価で援護協会が事業団を18点上回りました。「サービス向上の取り組み」など事業団が上回った項目もありましたが、「団体の実績・安定性」(14点)、「運営効率化への取り組み」(5点)などでの差が影響しました。
 選定審査会は「実績で大きかったのは障害福祉」とし、「高齢化する障害者への対応や共生型社会の啓発イベントなどの提案」が評価されました(本年3月3日の保健福祉委員会報告)。
 障害者が65歳になり、サービスが障害福祉から介護保険に移行すると水準に格差が生じます。区は水準が低下しないよう必要な障害福祉サービスの提供をしている、としていますが、その対応など、既に障害福祉分野で実績がある援護協会がまさったというのは根拠になります。
 しかし、昨年2月に両者に示された「旧竜泉中学校跡地における高齢者福祉施設等整備計画」では、そのコンセプトが明示されていたとは言えません。

効率化を優先?

 効率化という点では、指定管理料を要しない時期を、事業団が3年目以降としたのに対し、援護協会は2年目以降と提案したことで差が出た可能性があります。今回統合する3特養の指定管理料は、令和元年度決算で三ノ輪5874万円、蔵前6203万円、千束5176万円、合計1億7253万円です。
 区立特養は、虐待の緊急保護や重度の認知症などの困難ケース、生活保護や低所得世帯の受け入れを率先して行うセーフティネットです。台東区が指定管理者に対し、介護報酬だけで運営を成り立たせることを求めているとしたら重大です。
 3年に一度行う台東区高齢者実態調査では、平成29年度と令和2年度に公表した結果を比較すると、施設・居住系サービス事業所の経営状況について、「良い」が33.3%から30.8%に低下、「悪い」が44.4%から46.2%に増加しています。比較的安定していた施設介護サービスも、介護報酬の相次ぐ引き下げ、従事者の確保困難の悪循環に入りつつあります。
 台東区は今回の事態を重く捉え、今後の方針に生かすべきです。

カクサン
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