台東区はこのほど、都市計画マスタープランが示す将来像の実現に向けて今年度内に「まちづくり誘導方針(仮称)」をつくることを明らかにしました。これを踏まえ、まちづくりに関する条例を制定する方向です。
都市計画マスタープランは2019年3月、台東区のまちづくりの将来像を明らかにし、基本的考え方、取り組みの方向性を示した基本方針です。「世界に輝く ひと まち たいとう」という区基本構想と同様の目標を掲げています。
区内は、マンション建設による住宅用途の増加の一方、店舗など商業・業務用途の減少と、それに伴う建物1階レベルでの賑わいと歩行者動線の分断がすすんでいます。市街地更新により防災性は向上していますが、建替え困難な非木造老朽・小規模建物の密集、緑被率の後退、地域コミュニティの希薄化など、解決が求められています。
今回の誘導方針は、現在の台東区の特性を踏まえ、以下5つの課題を抽出し、それぞれ対応する方策を提起しています。
①地域特性に応じた用途の誘導
マンション建て替え等の際の建物1階レベルの用途誘導(店舗、事業所等)。既存の都市計画制度では誘導・規制できないきめ細かな用途の誘導(ものづくり産業等)。
②空地・みどりの創出など市街地環境の向上
隣接する敷地間による協調、地域独自ルールによる空地・みどりの創出。来街者が多く集まるエリアの建物セットバックによる歩道空間の拡充、そのための駐車場の適正配置、車両出入口の抑制。
③建替え・共同化の促進
非木造の老朽・小規模建物の密集エリアにおける、形態規制緩和等のインセンティブによる建替え・共同化の誘導、敷地統合の促進。
④公民連携によるパブリックスペース等の活用
パブリックスペース等の利活用を推進する仕組みづくり。利活用に関する情報の収集・一元化できるシステムの構築。
⑤まちづくりの担い手の育成
まちづくりの担い手の発掘・育成、担い手と地域がつながる仕組みの構築と活動支援。
日本共産党区議団は、商店街に面する建物1階部分の商業スペース附置義務、共同建替え助成制度の改正、空き家改修による高齢者・障害者・若者の住宅確保、マンション建設でのみどり面積拡大…など提案してきました。
今回の区の誘導・規制方策はあくまで、多様性が尊重され安全・安心に住み続けられる台東区、歴史や文化、環境を大切にし、経済的に活力のある台東区という基本構想を実現するためのものです。都市計画マスタープランに掲げる「協働によるまちづくりの推進」にもとづき、住民本位にすすめられれば力を発揮するでしょう。
同時に、区内はいま、土地や建物所有者の区民に対しデベロッパー等が執拗な営業攻勢をかけ、異常円安により外国資本の土地買いあさりが激化しています。一方、高齢者や区民福祉を支える事業者は高い家賃で苦しみ、退去、撤退がすすんでいます。この誘導方針が、逆に不動産投機を呼び込むようなことになってはなりません。
今後区は、住民本位・区民参加のまちづくりを基本に据え、区民の声をよく聞いて策定をすすめていくべきです。