都立高校入試の英語スピーキングテスト 「延期および再検討を求める意見書提出」の陳情が不採択に

共産・鈴木のぼる区議 採択を主張

 令和5年度都立高校入試から「英語スピーキングテスト」導入が検討されています。このテストは、英語を話す力をテストするものですが、様々な問題点が指摘されています。

浅草高校

 最大の問題点は、出題・採点の公正性と透明性が担保されておらず、民間業者任せになっていることです。
 今回のスピーキングテストの概要をみると、ベネッセが実施してきたテストと全く同じといってよい内容になっています。23区では、台東区など6区が既にベネッセのテストを経験しており、未経験の区の中学生より「有利」といえます。都立高校入試の合否判定の元になるテストでスタートラインが同じでないのは問題です。
 採点もベネッセに委託されフィリピンで行われるとのこと。質問に対する英語での回答の内容・発音・表情・ジェスチャー等を同一の基準で評価することは不可能だというのが専門家の指摘です。大学の入試で中止したものをなぜ高校入試に導入するのでしょうか。
 9月30日開催の区民文教委員会での陳情審議で、共産党の鈴木のぼる区議が「英語を話す学びを止めることではない。不公平なスピーキングテストを無理に導入すべきではないとの意見を上げるべき」と採択を主張、立憲民主党の中嶋恵区議が趣旨採択を主張しましたが少数で否決、不採択となりました。「もう学校でテストに向けて走り出しているんだから、いまさら延期を求める意見書は間に合わない」というのが不採択側の主張です。
 中学生の進路を決めるテストは、公正・透明であるべきで、保護者・生徒が納得できるものにするべきです。

陳情の不採択に抗議の談話

 陳情を提出した「子どもと教科書ネット台東21」代表の高山礼光さんから以下の抗議の談話が寄せられました。

 この「スピーキングテスト導入」に関しては、英語教育者・現場の先生方・保護者等多方面から問題点や疑問点が指摘されており、急速に「導入反対」の世論も広がってきたところです。
 私たち教科書ネットも、「採点の公平性や透明性が問題」「4点刻みとなる不合理な換算得点」「受験生の個人情報が民間事業者にゆだねられる」「民間事業者が酷似した教材を商品にしており、利益誘導にならないか」などを挙げ、台東区議会として都に対し「意見書の提出」を求め陳情したわけです。
 陳情が審議された委員会を傍聴しました。結果は不採択。理由は「問題点も解らないわけではないが、既に行われることが決まっているから」。
 区民(子どもたちを含め)の最善の利益を考え意思表示をするのが区議会ではないのでしょうか。区議会議員の皆さんには「区民の代表者としての矜持をもってほしい」と強く思わされた委員会傍聴でした。

カクサン