この時期、区役所では来年度予算案の作成作業をすすめています。区民は、物価高騰やコロナ等による生活苦・営業の困難に対し、最も身近な自治体である区の支援・補助を求め声を挙げています。しかし区は、区民の切実な要求に対し、これまで区財政の〝厳しさ〟を理由に充分応えてきませんでした。区財政は本当に〝厳しい〟のか、区の人口の増加と納税義務者数の推移から考えます。
課税段階別納税義務者数の比較
台東区の人口は、1960年(昭和35年)には約32万人でしたが、1995年(平成7年)に15万人台に減少しました。生産年齢人口は、2000年(平成12年)に最少となり、約11万人でした。今、人口は20万人を超えています。
人口が増えれば行政需要も大きくなります。コロナの影響もあり、区の予算は2001年度(平成13年度)の923億円から2021年度(令和3年度)の1063億円に140億円増えました。
その20年間で、納税義務者数は4万4526人(62.1%)増加し、11万6205人になりました。その結果、特別区民税は、予算ベースで73億円増えて192億円になっています。
納税義務者の内訳をみると、増収の理由が分かります。課税標準額「200万円以下」の納税義務者は、人数は増加しましたが、構成比は5.7%減少しました。課税標準額「400~1000万円以下」の中間層が増加率で83.1~93.1%と大幅に増加しました。「1000万円超え」の方は、構成比は微減しましたが増加率は40.5%、1191人の増加です。
以前、台東区民のイメージとして、中小零細業者・住み込みの従業員・職人、日雇い労働者、そして住居は職住一体・木賃アパートが多かったと思います。今は、区民の80%以上がマンションに居住、中高層のマンション建設ラッシュが続いています。そのマンションを買ったり、借りたりすることが出来る区民が増加しているのです。
もちろん、「200万円以下」という厳しい状況の納税義務者が半数以上いる現実も忘れてはなりません。
これらをみれば、区財政に〝力〟があることは明白であり、区財政の〝厳しさ〟は、区の積立金が500億円を超えていることをみても成り立ちません。
区民のための予算要求の実現をめざし共同する会は、9月9日(写真下)区長に提出した来年度予算要求書の実現に向け運動を強めています。
区は、区民の声・要求に誠実に応えるべきです。