若い区職員が増えている
「全体の奉仕者」としての人材育成を

 この間のコロナ禍への対応の中で、保健所や保育園・学校・高齢者施設等の公務労働・エッセンシャルワーカーの存在・重要性が改めて注目されています。ここでは「全体の奉仕者」として区民の暮らしといのちを守るため、直接区政の第一線で働いている区職員の“数と質”について考えてみます。


 今年度末の台東区職員の退職予定数は77名、4月の採用予定数は85名です。
 区職員数(再任用フルタイムを含む)の推移をこの10年間で見ると、別表のとおり2013年(平成25年)の1675人から2022年(令和4年)の1935人へと260人増えています。15.5%の増員です。

区職員の4人に一人が採用5年以内
 さて、採用人員を見ると、この10年間で831人となっており、中途退職などを考えないと全職員数の43%を占めています。5年間では、465人、24%です。「全体の奉仕者」として、使命感にあふれる若くて元気な職員が多数いることは結構なことです。
 しかし、見方によっては、職務経験の浅い採用5年以内の職員が全体の4分の1、10年以内が半数近くの状況に、行政遂行能力に不安を覚える方もいるのではないでしょうか。しかも、社会経験もなく区民の生活実態も知らない新規採用の職員を保護課のケースワーカーに配属する等の人事配置もみられます。
 問題は、人材育成の課題として、これらの職員を区民のためにしっかり働く職員としてどう成長させていくかです。研修や職場の支援体制はどうなっているのでしょうか。現在、人材育成担当課長は人事課長が兼務しています。区の人材育成への姿勢が問われます。

大幅人員削減の歴史
 1972年(昭和47年)は、人口22万8964人、職員2173人でした。1982年(昭和57年)は、人口16万1563人、職員2184人。それが、1992年になると、職員数は1770人に激減します。
 人口減もありますが、それ以上に中曽根臨調・行革攻撃の先取りと云われた「株式会社台東区」や「ロボット行政」という方針のもとに行われた学校の現業職員(用務・給食調理・学童擁護・警備)を中心とした人員削減によるものです。
 その後も人員削減が続きましたが、民間委託や非常勤職員による代替では職務遂行に支障が出るということで、近年は正規職員の増加に転じました。

山積する課題は…
 この間、区職員の条例定数は2266人とされ、変わっていません。区は実際の適正な人員配置をどう考えているのでしょうか。また今後の見通しはどうなのでしょうか。
 人口増や行政需要の多様化、職務の複雑化、事務系か技術系かの職種を考えると、現状の職員数で十分と云えるのかどうかについては“?”です。
 加えて、管理職や係長のなり手不足の問題、慢性的な長時間労働・低い休暇取得率・メンタルでの病欠、そして再任用や会計年度職員(以前の非常勤)等との関係など、職員をめぐる課題は山積しています。

カクサン