定員に満たぬ保育施設が経営大変
すでに15区対応 ゼロ歳児ニーズ支える対策を

 年度当初に定員に空きが生じた保育施設運営事業者の経営が困難に陥っています。収入の大半を占める保育委託費は受け入れ児童数に比例して給付されるため、定数に満たない分が赤字要因となるからです。とりわけ委託費単価が高いゼロ歳児の空きができる施設への影響は深刻。台東区は早急に対策を講じるべきです。

 台東区は2022年度4月、ゼロ歳児377人の定員に対し313人が入所。64人の空きが生じましたが、年度末の現時点では373人が入所しており、年間を通してちょうど保育需給のバランスがとれています。
 ゼロ歳児保育は、年度途中での出産や産育休明け保育ニーズの多様化など、不確定な要素がありますが、台東区では現時点でほぼ待機児童を生じさせないところまで到達しています。
 しかし保育事業者は、定員が埋まらなくても保育士を確保しておかなければなりません。国や自治体で定めた保育士配置基準があるからです。とりわけゼロ歳児は子ども3人に対し保育士1人を常に配置しなければならず、年度内に入所してくるまでの保育委託料が入ってこないことは経営的には大きなマイナスです。提供している事業所が撤退したらバランスは一気に崩れかねません。
 日本共産党・あきま洋区議は「ある小規模保育所経営者は、見通しのないまま融資を受けるわけにはいかない。このままでは早晩、撤退せざるを得なくなる、と切実に訴えている。台東区はここまで待機児童の解決のためがんばってきた事業者や保育士を見殺しにするわけにはいかない」と話します。
 23区ではすでに15区が、年度定員割れの事業所に対し、保育委託費の一部とみなす補助に踏み出しています。台東区も早急に対応すべきです。
 今後、待機児童「解消」後の保育のあり方が問われる時代が目の前です。子どもたちに豊かな保育を実現するため、今後は量から質へ、公的保育の再評価の道などを真剣に模索する時です。

カクサン