教科書採択の審議を分かり易いものに

 今年度は、小学校教科書採択の年です。子どもと教科書台東ネット21は4月11日、教科書の採択を審議する教育委員会の内容を傍聴者に分かり易いものにするために、「教科書採択における教科書発行者名の表記に関しての要請書」を教育長に直接手渡しました。

 台東区はこの間、教科書の採択事務・審議について、教科書発行者の実名を伏せアルファベット表記で行ない、採択後に発行者名(出版社名)を明らかにしてきました。
 教科書採択のための教育委員会の審議は、希望者が全員傍聴できるように改善されましたが、アルファベット表記で行われる教科書採択の際の審議には、大きな問題があります。

 第一に、公開された審議の場に足を運んだ傍聴者にとって、審議内容が大変解りにくいということです。教育委員の皆さん自身も、他の委員が論評している教科書が実際どの教科書なのかが解りにくいと思います。審議の透明性という観点から大きな問題です。

佐藤徳久教育長㊧に要請書を手渡す
教科書ネット21の高山礼光代表。

 第二に、教育委員の皆さんに、都の教科書審議会の資料や教科書展示会での市民の声は届かないことになります。どれがどの教科書が分からないからです。
 この間の教科書採択審議の際、教育長はアルファベット表記の根拠を「公平、公正」の観点からと説明してきました。確かに教科書採択にあたっては公平性、公正性は大切です。
 しかし、発行者の実名を伏せることが「公平・公正」を担保するうえで大切なことであるならば、他区でもその様な方法が採用されているはずです。
 しかしながら、このような手法を採用しているのは東京23区では台東区を含めもう1~2区しかありません。
 教育委員の皆さんが、様々な情報(教科書展示会での市民のコメント、専門家の論評、WEB上での発行者の解説・説明や東京都教育委員会教科書審議会の資料等々)を得ながら、最終的にはご自身の知見に基づき、なにものにも左右されず主体的に判断し、意見を述べられることが「公平性」「公正性」の確保であると考えます。

 教科書ネット21は、以上をふまえ、教育長に以下の2点を要請しました。
①教科書の採択事務・手続きにおけるアルファベット表記を見直すこと
②上記が受け入れられない場合は、教科書採択事務・審議におけるアルファベット表記の根拠を「公平性・公正性の観点から」という言葉ではなく具体的に説明すること。
 これに対する教育長の対応は、(要請書は)「確かにお受け取りしました」とのコメントにとどまっています。

カクサン