「5類」移行後の新型コロナ 区内でも感染拡大の兆候
ワクチン、検査、医療など対策強化を

 新型コロナウイルス感染症が増加傾向にあります。前週7月3~9日(27週)の全国、都内の定点医療機関当たり感染者報告数は、感染法上の位置付けが「2類相当」から「5類」に変更されてからの週間数値としては最大になりました。台東区の報告数は6月5~11日(23週)の57人をピークに減少してきましたが、区の発熱相談センターへの相談数は前週(27週)が68人と最大になりました。生活様式、検査や医療、ワクチン接種など全分野で厳しい認識をもとにした対策が求められます。
 「5類」移行後、感染防止面での「ゆるみ」が広がっています。陽性者や「濃厚接触者」の外出規制がなくなり、マスクをはずす比率、お祭りや飲食を伴う会合が増えています。感染リスクが高まってきていることは明らかです。
 ワクチン接種にも「ゆるみ」が反映しています。18日現在、65歳以上の接種率は1回目93.1%、2回目92.8%、3回目89.2%に対し、5月以降の「春開始接種」は44.2%と大幅に減っています。感染して得られた免疫も時間経過とともに減っていきます。とりわけ高齢者や基礎疾患のある方は継続して免疫を取得することが必要です。区は積極的な必要性に関する周知を行うべきです。
 全数把握をやめ検査体制が後退するとともに、コロナの検査・医療費の公費負担がはずされたため自己負担が生じ「症状があっても検査をやらないという患者が多い」(区内の診療所)という声が上がっています。また、かかりつけ医に「検査してほしい」と求めたが「必要ないでしょう」と言われた、との声が届いています。区は、希望しながら経済的理由で検査を躊躇する区民が出ないよう、検査キットの配布、区直営のPCR検査センターを再開すべきです。
 「5類」への移行で「インフルエンザと同じ扱いになった」と言いながら、医療機関までの壁ができていることも問題です。「自らキットで検査してから医療機関へ」「感染に備え市販の解熱鎮痛薬を」(区ホームページ)というのは本末転倒です。コロナかな、という自覚症状があったら、安心して医療機関にかかることができる環境を台東区は整えるべきではないでしょうか。

カクサン