放課後子供教室 事業者が虚偽報告
指導員の人材不足が背景に

 台東区が放課後子供教室を委託する民間事業者が、配置人員の虚偽記載・報告を行っていたことがさきごろ判明しました。区は「区職員による巡回等の機会を増やし、運営状況のチェックを強化していく」としていますが、根本にある学童保育指導員はじめ児童福祉を担う働き手の不足、その要因である処遇の改善がなされない限り解決に向かわないのではないでしょうか。

 この4月から根岸小学校放課後子供教室を運営している「労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団」は、配置人員を水増しするなどの不正を行っていたことを台東区に報告しました。
 同法人は7月、新宿区での児童館運営で勤務実態がない職員を加えた虚偽報告を行い、同区から指定管理を取り消されることになりました。その後、荒川区と台東区の放課後対策事業でも虚偽報告があったことがわかりました。
 台東区が同法人に委託している事業は、これ以外に根岸こどもクラブ、田原こどもクラブ、日本堤子ども家庭支援センター谷中分室があります。区は現在までに、根岸小学校放課後子供教室の適正人員の実現を確認。他のこどもクラブ・放課後子供教室運営事業者にもヒアリングを実施し、虚偽の報告がないことを確認した、といいます。
 ワーカーズコープの新宿区での事件については、業務委託契約上の基準を上回る有資格者をそろえられなかった、とメディアが報道しています。同様の「職員水増し」事件は、横浜市(2021年)、名護市(2022年)と学童保育事業で毎年おきています。

長く働けるよう処遇改善を

 このような問題が後を断たないのは、学童保育指導員はじめ児童福祉を担う働き手の不足にあることは明らかです。とりわけ学童保育指導員は、専門性が強く求められるのに多くが非正規雇用、半数以上が年収150万円未満という実態です。長期的に安定して働けるような処遇改善が必要です。
 ところが政府は、指導員資格のない職員だけの保育時間を可能にするなど、専門性をうすめて人員を確保しようと逆行しています。学童保育の質、子どもの安心・安全が置き去りにされています。
 台東区は増え続けるこどもクラブ待機児童対策の中心を民設民営こどもクラブの新設に置いています。民設民営は株式会社運営に傾斜しており、指導員の人件費抑制につながります。区のチェックも届きにくくなります。区は今回の事件を踏まえ、あくまで区立のこどもクラブを柱に待機児童を解決していくべきです。

カクサン