富山市を視察して
人口減少・高齢化からDX活用し市民福祉向上 

 台東区議会企画総務委員会は6~8日、行政DXをテーマに3つの自治体を視察しました。そのうち富山市のとりくみについて、あきま洋区議が報告します。

富山市を視察して
人口減少・高齢化からDX活用し市民福祉向上

区議会議員 あきま 洋

 富山市は富山湾の漁業、稲作を中心とした農業、化学・生産用機械器具をはじめとする製造業を背景に発展を遂げてきた街ですが、新自由主義的経済政策、経済のグローバル化のもと、人口減少と高齢化がすすんでいます。
 そこで合併した7市町村の地域を中心に「お団子」(コミュニティ)をつくりそこを「串」によりつないで一定水準の行政サービスを維持できるコンパクトなまちづくりをめざし、「串」の役割をLRT(路面電車)が担っています。
 「この公共交通沿線地区に人口を集中させることで、道路・水道などインフラのコスト低減を図ることが大きな狙い」と担当者は言います。
 コンパクトシティと併せ、さらにデジタル技術の導入、官民の各種データ活用により市民生活の質や利便性を向上させよう、と2018年にスマートシティ推進事業をスタート。2022年度「富山スマートシティ推進ビジョン」を策定し、市と市民、企業がデータを共有するプラットフォームをつくろうとしています。
 具体的にすすんでいるのが「センサーネットワーク」です。水位計等の各種センサーからの情報信号を受信するため、公共施設に設置したアンテナとそこから得られたデータを集約するための情報基盤で、市内エリアの98%をカバーしています。
 その基盤を活用し、河川水位情報、消防車両出動情報、市民課窓口の混雑状況、子どもの安全安心見守り連携事業、高齢者買い物対策…などにとりくんでいます。大変意欲的な施策であり、参考になります。

個人情報の保護が課題

 ただ、心配なのは市民の個人情報をどう保護するのか、という点。私は「自治体が義務付けられた行政システムの標準化やマイナンバーカード活用の横展開について、スマートシティ推進と併せ検討しなかったのか」と質問しました。担当者は「検討はしたが、まだそこまでの具体化に踏み切っていない。個人情報保護との関係で慎重にならざるを得なかった」と答えました。
 「センサーネットワーク」での子どもの見守り連携事業でも、子どもと保護者の参加同意を前提に行っており、個人情報が特定されない制度設計にしている、など腐心していることはとても印象的でした。
 今後、どの自治体も標準化やマイナカード活用、そのプラットフォームづくりへ、と動いていく可能性があります。 私は、DXによる利便性向上などサービス向上を否定するものではありませんが、個人情報の利活用が進む以上、自己情報の扱われ方を知る権利、忘れ去れられる権利、個人情報コントロール権も併せて保障されなければならない、と思っています。今回の視察でさらにその意を強くしました。

富山市の産官学が実証や試行を通じて地域課題の解決を図るための市民参加の拠点・スケッチラボ前で
カクサン