建設業の人材・資材不足 区民の福祉・教育に影響

 建設・土木工事の労働力・資材不足が台東区の公共工事にも影響を与えています。区は、第4回定例会に(仮称)竜泉2丁目福祉施設の工期延長・契約金額増額、田原小学校の大規模改修工事が入札不調により1年延長することなどを報告します。日本共産党・あきま洋区議の調査では、今年度不調になった区発注の工事件数は例年の倍の勢いになっています。

工期が延長になる(仮称)竜泉2丁目福祉施設(11月25日撮影)

 旧竜泉中学校跡地に建設中の(仮称)竜泉2丁目福祉施設は、区内の3つの特養老人ホームを統合する施設をはじめとした区の高齢福祉施策全体にかかる重要な事業ですが、工期の延長により竜泉福祉センター・竜泉こどもクラブの開設が半年延期、特養ホームは1年延期になります。工期延長の要因は複数ありますが、作業員不足と基礎杭の納入遅れが影響しています。
 田原小学校の大規模改修工事は、2年間校庭にプレハブの仮校舎をつくり児童を移しての作業になりますが、「管理者の不在」「契約期間内の引き渡しが困難」などの理由で不調になりました。関係者は「エレベーター技術者の不足が影響したのではないか」と分析しています。
 あきま洋区議は、台東区が発注したここ数年間の競争入札工事について調査を行いました(下表)。

台東区発注の工事入札状況の推移

(令和5年度は、8月末現在)

競争件数落札件数不落件数不調件数
平成31年度2782302424
令和2年度2722242622
令和3年度1951482720
令和4年度2491953232
令和5年度147120720

 それによるとここ数年、不落件数(予定価格を下回る入札がなく、入札を打ち切った後の価格交渉で予定価格以下での契約ができた不落随意契約件数)が増えてきましたが、今年度は8月までの5か月で不調件数が前年の倍に増え、不落件数は減っています。そもそも入札参加者がいない、または価格交渉の余地がないほど人材や資材がひっ迫している、とみることができます。
 区民の福祉や教育を支える大切な工事にまで人材や資材の不足が大きく影響し始めています。大阪万博パビリオンや国策による巨大半導体工場の急ピッチな建設などをやめ、住民・国民の福祉やライフラインをまもる政治への転換が求められているのではないでしょうか。

カクサン