台東区ヤングケアラー実態調査(下)
「自覚」する大切さ ジェンダーバイアスも

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 調査では、女子への負荷の重さが伝わってきます。
▼「世話をしている家族がいる」との482人の中で女子が259人(53.7%)です。きょうだいの世話が多いのが特徴です。勉強・進路・自分の話を聞いて、などでの願いは男子より女子が突出して高いのですが、世話の大変さを「特に感じていない」女子62.2%、男子50.2%。
▼「相談経験のない」理由については、「誰かに相談するほど困っていない」女子81.7%(男74.1%)、「家族以外に相談するような悩みではない」女子18.7%(男3.7%)と女子の方が自らの責任で抱える傾向が強く見られます。
▼「世話の内容」に「通訳」という回答が5.4%あったことも特徴的です。
▼中・高校生に行った、ヤングケアラーとしての自覚についての調査も重要です。
 「世話をしている人がいる」子どもで自分がヤングケアラーに「あてはまる」と回答した子どもは7.3%(平均では1.7%)、「わからない」30.7%(平均17%)でした。この子どもたちは、悩み・困りごとなど「大変さの自覚」が平均よりずっと高いのですが、学校の出席、遅刻早退では差はなく、逆に学校の課題や忘れ物などでは逆に「問題が少ない」との結果が出ました。過去の相談経験が多く、助けてほしいことを明確に持っているのも自覚がある子どもの方に顕著です。 
▼「悩み、困りごとは声に出していいんだよ」という社会的環境をつくることが重要です。アンケートでは自由記述欄にたくさんの意見が寄せられました。
 「アンケートに答えて少し心が楽になりました」(小学4年)、「友達の家族のことを、『あれっ』と思っていても、それを誰かに相談できる環境が整っていないと思う」(小学5年)、「学校で気づく機会をつくってほしい」(中学1年)などなど。子どもたちの優しさと気づきの新鮮さがひしひし伝わってきます。
 ぜひ、調査結果を区ホームページでご覧になってください。(おわり)

カクサン