定住者も、転出希望者も

 前号では高齢者人口の減少にふれました。今回は、“誰”を対象として区は施策を検討すべきなのか。台東区の人口の動き(別表)と「台東区民意識調査(令和5年度)」をもとに考えてみました。

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年度人口(人)転入(人)転出(人)出生(人)死亡(人)
2019200,00321,54617,6631,6451,967
2020202,88621,75717,8991,6351,931
2021203,98820,77118,3741,5732,127
2022204,43120,46019,0321,5862,158
2023208,82425,27419,6821,4312,191

 今、台東区の人口は増加傾向が続いています。区の人口が20万人を回復したのは2019年。今年の1月1日現在では21万2388人となっています。亡くなる方が生まれる方より多くなっていますが、転出と合わせても転入者がそれを上回っていることで人口増が続いています。
 間もなく4月。毎年この時期には転勤・就職・入学など生活の変化を受け、転入・転出が多くなります。実際に、表をみると転入・転出の多さが目につきます。数字だけを単純に考えれば、この5年間で区の人口の半分が入れ替わったことになります。
 一方で、区民の意識調査を見ると、「居住年数20年以上」が47.4%となっています。2009年度(平成21年度)以降の調査でも50%前後見られます。これにより、20年以上住んでいる区民が約半数いることを推測されます。
 定住意向をみると、「住み続けるつもり」「できれば住み続けたい」を合わせると81.0%、「できれば移転したい」「移転するつもり」は8.4%となっています。2011年度(平成23年度)以降の傾向を見ても、定住で70%台の後半、移転で10%近くで推移しています。
 定住したい方の理由は、「交通の便が良い」「長年住みなれている」「自分の土地・家」が上位3位を占めています。移転したい方の理由を尋ねると「地価や家賃が高く住めない」「家の広さなどの住環境が悪い」「地域の生活環境が良くない」が上位を占めています。
 それぞれの理由を見れば、区民がどのような気持ちで定住ないしは移転を決めたのかが分かります。
 これを受けて、区は20年以上台東区に居住している区民に対する施策をより一層重視するのか、転出を考えている区民の定住性を高めるためどう努力するのか、悩むところです。
 どちらにしても、区の施策はこれら双方の区民の声をキチンと反映して実施することが求められます。

カクサン