児童手当の所得制限撤廃、財源として公的医療保険に上乗せする形で集める「支援金制度」の創設…など、子ども・子育て支援法の改正案が、国会で審議に入りました。少子化への危機感が背景にあり、対策の緊急・重大性は論を待ちません。私たちの足元・台東区の就学前人口はどうなっているでしょうか。この10年間(2014年~23年、住民基本台帳による各年4月1日)の就学前人口を見てみましょう(台東区HP調べ)。
14年は7520人だったのが6年連続で増え続け、20年には8281人とピークになりますが、その後3年間減り続け、23年には7275人と10年前より少なくなってしまいました。就学前人口の減り方がスピードアップする一方、同じ期間、区の総人口は18万8104人から毎年増え続け、23年には20万8824人になっています。
なぜ就学前人口が減ってしまったのでしょうか。それには主に二つの要因が重なっていると思われます。
第一は、出生数の低下です。
1月1日から12月31日までの外国人を除く日本人住民の出生数ですが、18年の1617人をピークに22年は1421人まで減少(23年の統計はまだ)。これはその10年前13年の1411人以下です。
外国人も含めた各年4月1日の年齢別人口を見ると、ゼロ歳児は18年の1564人がピークで21年1406人・22年1424人、昨年23年は1298人まで減少しています。
第二は就学前人口の流出割合の拡大です。
14年のゼロ歳児人口1431人はその子どもたちが5歳となる19年には1213人、減少率は15.2%となっています。同じようにその後各年のゼロ歳児人口が5年後にどうなったかを比較したのが別表です。18年ゼロ歳児は1564人でしたが23年には1219人、減少率が22.1%に拡大しています。
これはゼロ歳児から5歳児に至るまでに区外に転出する人が転入を上回っていることを示しています。
今後、台東区が「こども真ん中」政策を進めるとしたら、この二つの要因にメスを入れた対策が必要ということになります。
就学前人口が減ることを前提に保育や学童クラブ、教育環境や就学援助、奨学金、配慮の必要な子どもなどの施策を後退させるのか、逆に減少することを逆手にとって教育・保育の質を向上させ出生率低下や子どもの人口流出を防ぐのか…区は大きな岐路に立っています。
0歳 | 5歳 | |||
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年 | 人口(人) | 年 | 人口(人) | 減少率 |
2014 | 1,431 | 2019 | 1,213 | 15.2% |
2015 | 1,512 | 2020 | 1,290 | 14.7% |
2016 | 1,509 | 2021 | 1,265 | 16.2% |
2017 | 1,530 | 2022 | 1,217 | 20.5% |
2018 | 1,564 | 2023 | 1,219 | 22.1% |