今国会に住宅セーフティネット法改定案、居住支援策を盛り込む生活困窮者自立支援法改正案が上程されています。台東区では、10年間の住宅政策の指針・「住宅マスタープラン」(住マス)が今年度改定されます。地価や家賃の急騰の中で住み続けられる台東区をつくることは容易なことではありません。それだけに現プランを検証し、高齢・障害者、ひとり親など住宅弱者にしっかり光を当てたものにすべきです。
現在の「住マス」(2015~24年度)は、定住促進、良質な住宅ストックの継承、住み良さを実感できる住環境…を基本目標に掲げ、①子育て世帯への居住支援②マンションの適切な維持管理・建替えの支援③空き家ストックの総合対策④安全・安心な住宅市街地の整備…の4つを重点に施策をすすめてきました。
区はこのほど次期「住マス」策定のため基礎調査(アンケート)を行いました。これらの重点施策はどうすすんだのでしょうか。
子育て世帯への居住支援では、「マイホーム借上げ制度」の普及、三世代同居支援などを盛り込みましたが、本紙前号でお報せしたとおり、ここ数年ゼロ歳~5歳児のいる世帯は転出が転入を上回っており、実効は検証できません。
アンケートでは子育て世帯の42%、若年夫婦世帯の約70%が現住宅からの住み替えを希望しています。その理由は「広さや間取り」が52%超となっておりダントツです。
マンション管理・建替え支援では、分譲マンション管理組合へのアンケート調査で、「修繕積立金が不足する」50%、「長期修繕計画がない」5.8%。1973年以前建築マンションの2割が管理不全の兆候があることがわかりました。
現在区が行っている管理組合への相談支援や耐震診断・補強設計への助成、金融機関への融資あっせんだけでは高経年・老朽化マンションの適正な管理や修繕・建替えをすすめることは困難です。賃貸マンションの老朽化も課題です。
空き家件数は減りましたが、多くはデベロッパーに買収され、マンションやホテル、業務用ビル等になったためで、リノベーションされ定住促進や地域経済の振興につながったとは言えません。
特に深刻なのは住宅弱者です。
国交省の2021年の調査では、家主が「入居に拒否感がある」とする借り手は、高齢者66%、障害者66%、子育て世帯18%です。共産党区議団には、高齢・障害者、ひとり親家庭、生活保護利用者から年間30~40件の住宅相談が寄せられ、増加する一方です。
最大のネックは区内地価の異常な高騰です。住宅確保困難層が区内で住み続けられるためにはどうしても公的住宅政策が必要です。新「住マス」は「住まいは福祉」「住まいは人権」の立場での施策に重点を置くべきです。