「地域型保育事業」の「連携園」
事業者任せにせず区が責任を

 小規模保育所、事業所内保育所、家庭的保育事業などの「地域型保育事業」は、今年度末までに認可保育園等の「連携園」を確保しなければならないことになっています。しかし区内の多くの事業所は確保に苦労しています。区は事業者努力を支援するとともに、区立保育園が「連携園」になるなど踏み込んだ対策を講じるべきです。

 深刻な保育園待機児童を解消するため、2015年、子ども子育て支援新制度(新制度)と同時にスタートした「地域型保育事業」。ゼロ~2歳児を対象に19人以下の小規模な事業所が次々つくられ、台東区内では前年度当初で192人の子どもをあずかっています。
 制度発足当初から「地域型保育事業」者は、①保育内容の支援、②卒園児の受入れ、③代替保育提供…のため認可保育園等の連携施設を確保するよう義務付けられていました。ところが事業者努力では確保できず当初5年だった猶予期間がさらに5年延長され、今年度末までとなりました。
 区は4月19日、「地域型保育事業における連携施設の確保について」との通知を発出。集団保育等の合同保育や屋外遊戯場の開放など保育内容への支援、職員の病気や研修受講等により保育が提供できない場合の代替保育の提供についての連携施設との協定を締結するよう促しています。
 卒園児の受入れについては、卒園児に対し認可保育園の3歳児定員が不足していること等から協定には規定しない、保育指数の加点による措置を継続する、としました。
 問題は、通知で「近隣の私立認可保育所を設定するように」とし、「区立保育園は地域型保育事業に限らず各保育施設による保育が一時的に困難になった場合のセーフティーネットとして」対応する、としていることです。
 ある地域型保育事業者は、「近くにある認可園との交流はありますが、ここまで踏み込んだ約束を交わすのは難しいです。近隣の私立認可園いくつかにお願いしていますが、多くが株式会社などで本部の決裁が必要、などと言われています」と話します。
 子どもと保護者の願いは、安全・安心な保育が滞りなく提供されることです。「連携園」はその点で必要ですが、株式会社などが運営する園庭のない私立認可園が「連携園」としてそもそもふさわしいのでしょうか。
 台東区には、長年区の認可保育を支えている社会福祉法人の認可保育園があります。区は、区立保育園とこれらの園が「連携園」として最後の砦になるようにすべきです。

区立坂本保育園
カクサン