区内無認可保育所の不適切保育 都が一転、児童虐待と認定 保護者と保育者が行政動かす

 区内の企業主導型保育所・パンダ託児所(浅草4)が昨年末、児童福祉法の「被措置児童等虐待」に該当するとして、東京都福祉局から通知を受けていたことが、このほど明らかになりました。保護者と保育従事者の切実な声が、一度は「問題なし」と判断していた東京都の対応を動かしました。日本共産党台東区議団は関係者からの告発を受け、調査と適切な対応を行政に求めてきました。昨年暮れの一般質問ではあきま洋区議が取り上げていました。(写真=子どもへの怒声を報じるTBS「報道特集」より)

 「しゃべんな、口閉めろ、汚ねえ」「前に同じことやられているだろ、言ったことも覚えていないのか」「なめているのか、たらたらしているんじゃない」――。泣き叫ぶ子どもたちに対し、施設長からこのような強い言葉が繰り返し浴びせられていました。
 「保育園に行きたくない」「園長が怖い」などと、子どもが毎日ぐずるようになったことから、保護者は保育所内で何か起きているのではないかと疑問を抱きました。保護者が子どもにボイスレコーダーを装着したところ、児童の心身に重大な影響を与えかねない不適切な言動が録音されていました。
 ほかにも不適切な保育が行われているのではないかと疑い、東京都に対し調査と改善を求めていた保護者がいました。
 複数の保護者は、施設長の不適切な保育に強い問題意識を持ち、抗議の意思を示して退職した保育従事者とともに、一昨年9月以降、子どもの安全を守ってほしいと、録音音声などの資料を複数回にわたり東京都に提出しました。調査の実施や適切な対応、緊急の保護者説明会の開催などを求めましたが、昨年7月、東京都は「問題なし」と判断しました。

メディアも動く

 納得できない保護者らは再調査を求め、都議会や区議会にも相談。台東区では日本共産党区議団に対し、事態打開のために力を貸してほしいと要望しました。また、メディアにも情報を提供し、11月22日のTBS「報道特集」では、施設名は明らかにされなかったものの、子どもに対する強い叱責の音声が放送されました。
 東京都は12月19日、パンダ託児所を運営する東京キャスト協会に対し、調査結果として「児童福祉法第33条の10第1項に定める被措置児童等虐待に該当する」と判断したことを通知しました。あわせて、「児童の人権に対する十分な配慮に欠けているため、是正が必要である」とし、今年1月19日を期限として、改善状況を確認できる報告の提出を求めました。

残された課題

 保護者や保育従事者の「行政に虐待の事実を認めてほしい」という粘り強い訴えが、東京都の判断を動かした形です。東京都は、同保育所を退所することを希望する児童について、保育指数の加算措置などを行うよう、関係自治体に求めました。しかし、これで問題がすべて解決したわけではありません。
 直接的・間接的に不適切な保育を受けた子どもたちの心の回復をどのように支えていくのか。現在も同託児所に通う乳幼児に対し、同様の行為が継続していないか。何が起きていたのかを十分に知らされていない保護者が残されていないか。転園を希望する児童への対応が十分に行われているか――課題は山積しています。
 台東区には、企業主導型保育所などの認可外保育施設に対する直接的な監査権限はなく、指導にも限界があります。しかし、虐待を受けていた、あるいは現在も通っている台東区の子どもたちのために、区としてこれらの課題に向き合い、必要な対応を行う責任は免れません。

カクサン