補聴器助成を有効な制度に 区「認知症予防を目的」

伊藤のぶ子区議が一般質問

 日本共産党の伊藤のぶ子区議は20日、一般質問に立ち、聞こえと補聴器購入費助成、介護人材確保対策、東京大空襲資料の常設展示場の3つの問題で、服部征夫区長の姿勢を質しました。理事者は補聴器助成について、認知症予防につながるよう医師や専門家などの意見を聞き制度設計をすすめる、と明確に答えました。

聞こえと補聴器助成

 伊藤のぶ子区議は、共産党は20年以上前から高齢者の難聴対策を重視し、磁気ループの活用や、耳の専門家を呼んでの地域での学習・相談会にとりくんできたこと、区もこれにこたえて「聞こえ」対策を前進させてきことに冒頭で触れました。
 共産党区議団と伊藤区議は、加齢に伴う難聴が認知症の要因となる問題を繰り返し取り上げ、補聴器購入費の助成を求めてきました。当初、因果関係を認めなかった区が2019年ようやく認め、その年に示された高齢者福祉計画では「聞こえ改善機器助成」を2023年度実施する、ということになったのです。
 本来なら現時点で制度発足のめどが立っていなければなりませんが、区は「より効果的な制度にするため」と、先延ばしにしています。
 伊藤区議は、全国、23区の先進的取り組みを紹介し、①効果ある制度にするには認知症発症予防という目標を明確にし、専門家を入れた検討委員会をつくること②十分な補聴器助成額にすることを区長に求めました。
 これに対し福祉部長は「高齢者の社会参加や認知症予防につながるよう」「医師や専門家などのご意見をうかがいながらすすめる」と答えました。
 実現まであと一歩です。力を合わせて全国に誇れる優れた制度を実現しましょう。

介護人材の確保策

 続いて伊藤区議は、不足する介護人材の確保策について質問しました。
 来年度から始まる次期高齢福祉・介護保険計画を策定するための調査で、区内介護事業者の半数が「経営が厳しい」と答え、理由のトップは「採用が厳しいから」の66%となっています。
 訪問介護員(ホームヘルパー)は高齢化も深刻で、同調査ではヘルパー総人数は横ばいなのに平均勤続年数が6年前4.7年、3年前7.0年、今回11.1年と大幅に伸び、高齢化が急速に進んでいます。
 伊藤区議は「これでは台東区の介護の未来はない。賃金を大幅に引き上げること、住宅支援、自宅までの移動経費補助、利用者が入院等で急に仕事がなくなった時の収入対策…など、区が真剣に取り組むべきだ」と主張。区長に「人材不足の根本原因はどこにあると考えているのか」と迫りました。
 これに対し区長は、介護人材不足の深刻さを認め、給与水準が低く負担が大きいことが原因だとし、国や都に処遇改善を要望していく、と答えました。また、区として「介護職等就職フェア」や事業者向け「採用力強化セミナー」の開催で採用を支援するほか、「定着率を高めるための新たな取り組みを検討」するとしました。新たなとりくみの中身はわかりませんが、人材確保の切実性はある程度共有できたといえるでしょう。

東京大空襲資料の常設展示場を

 最後に、伊藤区議は「生涯学習センターの大規模改修を機に東京大空襲資料の常設展示場を」と求めましたが、総務部長は、平和に関するパネル展の充実や大空襲資料展の共催などを理由に、常設展示場は考えていないと退けました。

カクサン