金余りの実態を追及 鈴木のぼる区議が決算総括質問

 日本共産党・鈴木のぼる区議(写真)は10月20日、決算特別委員会の総括質問に立ち、行財政運営、くらし支援の緊急対策への基金の取り崩し、気候危機対策、地下水のPFAS調査、商店街空き店舗対策、公務労働におけるジェンダー平等の6点で質問しました。

■決算年度の令和4年度、台東区は77億円の純剰余金を出し、基金を65億円積み増しました。それでも審議では、自民党を中心に一般財源の投入への慎重論、区財政危機を理事者に答えさせる質問が繰り返されました。
 鈴木区議は「決算年度の物価高騰やコロナ対策に措置した一般財源は、持続可能な行財政運営を脅かすほど過大と認識しているのか」と質問しました。これに対し区長は「現時点で必要な財政力は維持できている」と答弁しました。自民党などが主張しているように一般財源を使うことが財政を脅かす状況ではないのは明らかです。
 基金を取り崩して、緊急に物価高騰から区民生活を守れ、と迫った鈴木区議。理事者は、医療機関や薬局等への光熱費支援、特別支援学校に通う児童・生徒の給食費補助を行う、と答えました。しかし、これらはすべて国の交付金の枠内で財源が賄えた程度の規模にとどまり、一般財源は使っていません。基金を積み増す一方の財政構造は、単年度主義を原則とする財政規律からしても問題です。
■鈴木区議は続いて、CO2削減での区の目標の低さを批判。省エネ家電の買い替えと既存建物への省エネ助成増額を求めました。これに対し理事者は、前者は都の制度がある。後者は都や国の助成制度が新設され区との併用が可能として、創設・拡充を退けました。この分野で求められる野心的方針は微塵も感じられませんでした。
■公務労働でのジェンダー平等の大きな課題として、鈴木区議は、会計年度任用職員(1会計年度雇用の非常勤職員)への経験加算の導入、任用期間の上限撤廃を求めました。区の職員の31%が会計年度任用職員で、その7割は女性です。賃金等の処遇を改善することは公務労働でのジェンダー平等に寄与します。
 これに対し理事者は、会計年度任用職員の重要性を認めながらも、社会情勢と他区の状況を見て対応していく、と従来通りの答弁でした。これでは人材獲得、安定した区民福祉実現の面で、他自治体に負けてしまいます。
 区立保育園の男性保育士が、幼児の排泄介助でのトラブルの疑惑を向けられた事件がおき、今回鈴木区議は男性保育士のジェンダー問題を取り上げました。男子保育士の人権が守られるには、保育が家事労働=女性の仕事というジェンダーバイアスを取り除くこと。子どもの成長と発達に深くかかわる保育労働への保護者や地域での認識の改革が必要です。
 理事者は、現場で職員・保護者間での見解の相違が生じた場合は「子どもにとって最善の方法」を追求する立場で、職場のコミュニケーションの活性化、保護者との日常からの信頼関係の深化をめざす、と答えました。鈴木区議は「まず男性保育士の更衣室整備を」と求めました。理事者は検討すると答えました。

松村氏の「お詫び」を聞いて

日本共産党区議団長 あきま 洋

 第3回定例会最終日の26日、松村区議は本会議で「同性愛に誘導」の部分他1か所を取り消し、「傷ついた皆様にお詫び」しました。LGBTQ当事者、マイノリティ差別を許さないという怒りの世論と運動の成果です。区教委が教育で性的指向は誘導できるものではない、と見解を示したことと併せ、今回の問題はひとまず一区切りついたのではないでしょうか。
 ただ、松村氏の発言は全体がLGBTQへの偏見に貫かれています。一部取り消しでそれが払しょくされたわけではありません。また、自民党は発言を認めた責任について未だに頬かむりです。率直なところ、今後いつまた逆流が始まるのかわかりません。
 「お詫び」発言以降、何人もの方から、松村氏は本当に反省しているのか、もっと追及を、との問い合わせがあります。私は、「議会はディベートの場ではない。『お詫び』が性的少数者に直接向けられたことは評価できる。ただ当日、発言撤回を求める署名を提出した当事者らに冷たく接したこと、壇上の態度が投げやりに見えたことは事実。今後一緒にチェックしていきましょう」と答えています。
 台東区議会には今回の問題で大きな収穫がありました。自民党も含め、超党派でのLGBTQについての学習会を複数回開く合意ができたことです。知らないことから発生する差別や偏見は勉強して取り除いていくしかありません。区議会の変化は大きな前進です。日本共産党区議団も学習を深めるとともに、性的少数者への差別・偏見のない台東区をめざし、積極的に活動していきたいと決意しています。

カクサン