令和3年第1回定例会 予算特別委員会《総括質問》

〇発言者
伊藤のぶ子

〇日付
2021年3月22日

 日本共産党の伊藤のぶ子です。

 最初に介護保険と高齢福祉について質問します。
 介護保険は、2000年4月より家族介護から介護の社会化ということで、全国どこでも、誰でも選べる介護、1割負担で利用できる介護制度ということで開始されました。21年後の今、介護の現状はどのようになっているでしょうか。

 この1年、コロナ禍で高齢者を介護する現場は大変な困難に見舞われました。
 当初は消毒薬、マスク、予防具なども少ない中、感染予防対策を行いながらも、いつ感染するか、させるかの不安と闘いながらの介護でしたので、現場の緊張感と不安は大変なものだったと思います。このような中で、訪問介護、通所介護、さらには施設介護のヘルパーたちの離職が増えました。

 予算委員会では、区としてもヘルパー不足の認識はあるとの答弁がありました。
 区はこの間、人材確保と介護職育成ということで対策を進めてきましたがあまり実績は上がっていません。

 区長。改めて現在の介護従事者不足の原因についての認識と、介護人材の確保対策についてそれぞれお示しください。

 台東区は第8期高齢福祉計画で「いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現」に向けて、さまざまな高齢者施策を総合的に推進することを通じ『高齢者をはじめ、誰もが尊厳を守られ、いきいきと安心して生活を続けられるまち』『多様性が尊重され、住み慣れた地域全体で、助け合い支えあえる街』を目指すとしています。素晴らしい目標です。
 しかし、区内の高齢者が一人暮らしでも安心して住み慣れた地域で暮らすことができる台東区になっているでしょうか?
 今回の予算審議で私は、一人暮らしの方が夜中や明け方にベットから転げ落ち転倒を繰り返すため、夜間対応型訪問介護サービスを受けようとしましたが、事業所がないため利用できなかったケースをご紹介しました。そして「台東区において必要なサービスの不足はないか」との質問をしました。
 これに対し理事者は「令和元年に行われた実態調査では、『夜間対応型訪問介護』『定期巡回・随時対応型訪問介護看護』の不足がある。夜間対応型訪問介護に関しては、3回ほど開設閉鎖を繰り返している。利用者が集まらないため、事業者の採算が取れないことが原因と答弁しました。
 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は事業者が出てきたようですが、利用しようとしたケアマネジャーは「必要な時に対応が間に合っていない」と話しています。24時間在宅介護を支えるには欠かせないサービスです。
 しかし区は8期計画で「夜間対応型」の事業量見込みをゼロとしています。今後3年間もこれまでと同じように事業者任せにしようというのでしょうか。

 区長。「夜間対応型訪問介護」を必要としている高齢者の対応を、どのように考えているのでしょうか?お答えください。

 厚生労働省は補足給付の見直し等について検討を行っています。低所得者の方が介護保険の施設に入所またはショートスティを利用した場合の食費・居住費の負担限度額の見直しをするというものです。負担要件が変わり、負担限度額が8月から大幅に上がることになりました。
 年金120万円を1円でも超えた方は食費が650円から1360円(710円増)、居住費と合わせると1日1730円となるため、月に2万2千円負担が増え、51,900円となります。
 国は同時に、高額介護サービス費の上限を引き上げようとしており、さらに負担が増える層が出てきます。

 区長。今年8月からの補足給付の見直しにより負担が増える層が出てきます。施設利用を躊躇する区民が出ないよう、あらゆる対策を講じるべきではありませんか。ご答弁ください。

 私はコロナ禍の中で、外出の自粛や友達と会えないことにより、身体と心の健康を崩している高齢者に数多く出会います。台東区は今、これらの高齢者を元気にすることに全力を上げなければなりません。
 ところが老人福祉予算は特養浅草の大規模改修工事予算を除くと前年より1億1千万円削減されました。介護保険会計での一般高齢者への介護予防予算も削減されました。

 区長。介護保険予算で元気高齢者のための予算が減額となっていますが、今後どのように取り組むお考えでしょうか?

 介護保険制度が始まってから3年ごとの改定のたび、台東区は毎回値上げをしてきました。高すぎる保険料は、とりわけ介護サービスを利用しない高齢者への不満になって私の耳に届きます。
 区長。介護保険の利用者はどんどん上がる利用料に、元気高齢者は高すぎる保険料の天井知らずの値上げに苦しんでいます。

 高齢福祉を介護保険に閉じ込めるやり方はもう限界に近づいてきたのではないでしょうか。区長この状況を打開するには二つの道しかありません。第一は介護保険制度への国の負担を増やすこと。第二は台東区の高齢福祉施策を充実させることです。

 本予算は、来年度からの介護保険料をまた値上げするものになっています。とうてい賛成できません。

 次に生活保護行政について質問します。
 消費税10%増税と新型コロナウイルスの影響で中小事業者の倒産・廃業と失業が急増し、生活困窮者が増えています。台東区でも多くの区民が、緊急一時資金や住宅確保給付金などの施策を利用が急増しています。
 そんな中、国会では菅首相の「最終的には生活保護という仕組みがある」と発言し、国民から「最後のセーフティーネットの前に手を打つのが政治の役割だ」と批判の声が沸き起こっているのは当然です。
 また先月、「生活保護費を減額した厚労大臣の裁量権行使は違法」という大阪地裁の判決もあり、憲法に保障された生存権を根底で支える生活保護について、議論が高まるのはいいことではないでしょうか。
 台東区議会の今定例会でも、予算委員会や保健福祉委員会で、生活保護についての議論がかつてなく活発でした。

 そこで区長にうかがいます。
 台東区内で生活保護を受けている75歳以上の単身者は、2003年の改定以後、老齢加算、冬季加算を含めた月97,820円の生活扶助費が2020年には74,530円と4分の3近くまで減らされたことが、理事者の答弁で明らかになりました。
 私の周りでは「食事を2回に減らした」「友達の葬儀に行けなくなった」など、はっきりと影響が出ています。
 区長。2013年の保護費改定が、区内の保護利用者にどれだけの影響を与えたと認識していますか。お答えください。

 菅首相は困窮したら生活保護がある、といいます。厚労省のサイトでは「生活保護は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにでもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と発信しています。
 しかし、生活保護基準以下の収入の人で保護を受けている割合、いわゆる捕捉率は2割と言われています。相談しても多くが保護の申請をためらっているのはなぜなのでしょうか。
 申請すると家族親族への扶養の意思を確認する扶養照会が最大の理由であることが明らかになっています。困窮者支援団体「つくろい東京ファンド」のアンケートでは、生活保護を利用しないと答えた34.9%が「家族に知られるのが嫌」というものです。
 予算委員会では、台東区への昨年4月から今年の1月末までの2,535件の保護相談のうち595件が申請に至らなかったという報告がありました。日本共産党区議団への相談でも、親や兄弟に知られるのがいやだから、と保護申請をためらうケースがかなりあります。
 予算委員会では生活保護法4条2項に民法上の扶養義務者の扶養が保護に優先する、との規定を根拠に、扶養照会を行うとの答弁がありました。しかし、この民法は明治29年に制定されたものです。封建的な家の制度を色濃く残したものであり、「すべて国民は個人として尊重される」とうたう現憲法に反します。
 日本の民法の扶養義務は3親等までと異様に広く、先進国はすべて1親等あるいは配偶者と子だけとしているのと比べ極めて遅れています。
 ところが台東区は、相談窓口で説明の際に使う「生活保護のしおり」で、親、子、兄弟姉妹などの扶養義務者に援助を求める努力を記しています。これが一律に窓口で説明されています。相談者が申請をためらうことは容易に想像できるのではないでしょうか。国会でも、厚労省大臣が「扶養照会は義務ではない」と答弁しています。
 「生活保護のしおり」の書き方今すぐにでも変えるべきだと考えます。
 コロナ禍が長引き、緊急小口資金や住宅確保給付金が尽きる人も出てきます。そういう人が、ためらわず申請できるよう、配慮すべきと考えますが、区長の所見を求めます。

(答弁)

(反論)
 国会では、厚労大臣が共産党・小池晃参議院議員に扶養照会は義務ではない、と答弁しています。生活保護という国民の命を最後に支えている崇高な制度が、恥ずかしいものだというような風潮を打破するためにも、区が先頭に立って憲法に定められた権利であることを啓発すべきです。

 最後は、ジェンダー平等についてです。
 新型コロナ感染症は社会的に弱い層ほど大きな負担を押し付けていますが、とりわけ女性に深刻な事態がすすんでいます。
 私は本予算委員会で、人権、福祉、雇用など各分野で女性のおかれた状況について質問しました。
 はばたき21相談室への相談の増加、福祉事務所の女性相談の深刻さ、ハローワークで職を求める非正規雇用の女性の急増など、それぞれの分野で、新型コロナウイルスの影響が反映していることがわかりました。
 同時に、台東区が一人ひとりの相談に丁寧に対応しているのに、対応しているそれぞれの部署が、個別事例の掘り下げ、他の部署との連携した対応、情報を共有しての政策への反映などで、課題があるのではないか、と感じました。

 今年度から始まった台東区男女平等推進行動計画は「多様性を認め合い、誰もが自分らしく生きるための男女平等社会の実現」を基本理念に掲げています。そして「性別による固定的役割分担、偏見等が社会的に作られたものであることを意識しようという視点」、すなわちジェンダーの視点を、区政のすべての分野で推進することを決意しています。
 この計画をスタートさせる出鼻を新型コロナが襲いました。
 区長。はばたきプラン21がめざす3つの基本目標、「あらゆる分野への男女平等参画の推進」「職業生活における女性の活躍推進」「誰もが安心して暮らせる環境の整備」にてらして、コロナがもたらす女性への影響についてどのように認識しているか?また、令和3年度において具体的な施策をどのように進めていきますか。お答えください。

(答弁)

 コロナ陽性者が発覚して高齢者施設がサービスを休止したら、親の介護のためまず仕事を休むのは女性。子どもが発熱し学校を休む際、家に残るのはまず女性。
 「介護や育児は女性が担うもの」という、日本社会にこびりつく性別役割分業の発想が、コロナにより矛盾を激化させています。
 ジェンダーの視点を区政全体に貫き、コロナ禍での女性の人権、社会的地位の向上のため、さらに区政を前進させていただくことを求めます。

以上で私の質問は終わります。

私は今予算審議の中で
1)一般会計予算
2)国民健康保険事業会計
3)後期高齢者医療会計
4)介護保険会計に反対を表明します。

カクサン
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