ふれあい入浴券倍化と子ども券 担任のいない学級なくす…
共産党、42億円の予算修正案

 日本共産党台東区議団は8日、第1回定例会予算特別委員会に2023年度台東区一般会計予算に対する修正案を提案しました。物価高騰からくらしと営業をまもり、高齢者も子どもも元気になる予算ですが、10日、自民・公明はじめ他会派により否決されました。修正案の内容を紹介します。

直接給付に19億円

 第一は、物価高騰から直接、区民と区内事業者をまもる給付です。
 賃金が上がらず、年金は減額の中、食料品と光熱費をはじめ物価高騰が区民のくらしと区内中小事業者の営業を脅かしています。
 修正案は、今年度、国が行った住民税非課税世帯と所得急減世帯への5万円の臨時特別給付金と、住民税非課税の子育て家庭、ひとり親家庭に加え、多子世帯を含めた子育て世帯生活支援特別給付金(子ども一人10万円)を支給します。区奨学給付金を専門学校生と大学生にも対象を広げます。以上に19.4億円の予算を計上しました。
 事業者支援は2つです。入浴を伴う介護を行う介護・福祉事業所への光熱費補助を1億円増やします。公衆浴場への燃料費補助を7千万円増やし、事業継続を支援します。

高齢者の孤立解消を

 第二は、コロナ禍などで孤立がすすむ高齢者のコミュニケーションづくりと健康、介護予防対策です。
 高齢者ふれあい入浴券を倍にし、お孫さんや近所の子どもと入れる子ども同伴券もつくります。1億円の増額です。老人福祉館の活動を拡充・活発化させるため6千万円増額します。
 加齢に伴う難聴を防ぎ、孤立と認知症予防のために相談、検査、診断、補聴器購入費助成、その後のアフターケアなど一連の聞こえ向上、耳の健康対策をすすめます。補聴器購入費助成に2億2千4百万円、聞こえ外来の支援に2千万円予算計上します。聞こえ相談を定期化し5百万円増額します。
 高齢者のいわゆる「買い物難民」が地域によって増えています。商店街等での空き店舗活用支援を3千万円増額し、開店まで具体的に支援します。

中小の事業継続へ

 第三は、中小企業の資金繰り支援です。台東区はコロナ対策融資、その後の借換融資など努力をしていますが、借り換えや条件変更だけでは真水の借入が確保できず、事業継続のためのチャレンジができません。
 地元の信金と協力し、コロナ融資を別枠とみなして区独自の中小企業融資制度をつくります。すでに区は住宅修繕資金あっせん融資を行い、実績をあげています。債務負担行為として10億円の元手を計上しました。

担任のいない学級をなくす

 第四は、区独自の教員採用です。区立小中学校では担任のいないクラスが毎年出ています。教員不足は国と都の責任ですが、手をこまねいているわけにはいきません。杉並区のように東京都と同じ処遇で働く区独自の教員を40人採用し、クラス担任のいない学級を根絶するとともに子どもと向かい合う時間を増やします。予算額は2億8千万円です。

平和を語り継ぐ

 第五は、東京大空襲はじめ戦争の怖さ、平和の尊さを伝える資料が区内にはたくさんあります。それらを発掘し、常設展示する会場をつくるための調査費として平和祈念事業を5百万円増額します。

ケア労働者へ直接支援、その他の修正…

 その他、介護や障害福祉などケア労働者への給料直接支援、保健所の常勤保健師体制の強化、地球温暖化対策と光熱費高騰対策を一石二鳥ですすめる省エネ創エネ促進などです。
 修正額の合計は41億9千4百万円の増額で、歳入は全額財政調整基金を充当します。区は今年度51億円の基金を積み増し、一般会計には今年度末576億円、史上最大の基金に膨れ上がります。その7%で、区民が元気になる予算ができます。
 予算委員会では「子ども風呂券など共産党の修正案はいい。理解できる」という他会派からの評価もありましたが、賛成は共産党だけで否決されました。

カクサン